現役米海兵を”秒殺”TKOで再起した元貴ノ富士のスダリオ剛に「元力士は総合格闘技で成功しない」のジンクスを覆す予感
総合格闘技イベントの「RIZIN.31」が24日、横浜のぴあアリーナMMで行われ、大相撲の元貴ノ富士、スダリオ剛(24、フリー)が120キロ契約のMMAルール5分3ラウンドルールで、横須賀米軍基地に勤務する現役海兵のSAINT(28、Y&K ACADEMY)と対戦し、1ラウンド1分51秒に左フック一発で“失神“させTKO勝利、再起戦を飾った。スダリオは6月の東京ドーム大会でシビサイ頌真(30、パラエストラ東京/巌流島)にネイキッドチョークで総合格闘技転向後、4試合目にして1本負けを喫していたが、米国で2か月間に及ぶ武者修行を敢行、124キロあった体重を“スイーツ断ち“とトレーニングで115キロにまで絞り込み、今回の再起戦にかけていた。大晦日大会への参戦は確実で、試合後、「シビサイ選手との再戦に固執はしない。国境が開けば海外の選手とやりたい」と意気込みを語った。
ボデイからフックへの鮮やかなコンビネーション
序ノ口から序二段。いや、第一形態から第二形態へ。怪物へと進化したスダリオのお披露目だった。「興奮していて覚えていない」という突き出した左のジャブがカウンターとなり、SAINTがバランスを崩してロープに下がると、巧みなステップワークでコーナーへ追いつめた。 「過去のDEEPの試合よりも動いていた」と感じた現役の米海兵戦士をそこに釘付けにすると、フェイントを入れて体を沈めてから右のボディストレート。SAINTの意識が下にいき、ノーガードになった顔面に続けざまに強烈な左フックを炸裂させた。ヘビー級とは思えぬ鮮やかな上下のコンビネーションブロー。屈強な米海兵は、前のめりに倒れてしばらく意識を失った。 「相手が良く頭を動かしてディフェンスがうまいなと思った。でも顔はよけられるがボディは入れられる。そこに一発入れてから上下に散らした」 瞬時に判断した111秒の秒殺TKOだった。 6月のシビサイ戦に敗れた後、米国に渡り、サンディエゴで柔術、ラスベガスでは、UFC、ベラトールのトップファイターたちとスパーリングを積んできた。柔術、レスリング、組み、寝技が中心で、MMAのスパーリングも重ねたが、特別に打撃系のトレーニングを積んだわけではなかった。打撃をインスパイアされたのは、帰国後、K-1、クラッシュなどで活躍している選手とのスパーリングを行って「磨いたもの」だという。 RIZIN参戦3戦目では、宮本和志をKOした後にも、興奮して攻撃を止めず、両陣営乱れての乱闘騒ぎとなり、ファイトマネーの25%相当の罰金を科せられた。だが、この日は、相手がうつ伏せに倒れるのを確認すると追撃の一打は放たなかった。 「レフェリーの動きが見えた瞬間にやめた。精神的に強い選手にならないと」