坂上忍「ペットショップで買うしかない?」動物保護の先に見据える日本の課題
動物愛護管理法改正により、6月1日、ペットショップなどで販売される犬や猫へのマイクロチップ装着の義務化が始まった。背景にあるのは飼育放棄や遺棄などの社会問題だ。「以前は、ダメな飼い主でした」と告白するタレントで俳優の坂上忍さんは、自身の体験や失敗をきっかけに、こうした動物に関する問題を身近に感じていたという。その後、人生を賭けて立ち上げたのが動物保護ハウス「さかがみ家」。そこにはペットを取り巻く現状を少しでも改善したいという強い思いが根底にある。(ジャーナリスト・中村竜太郎/Yahoo!ニュース Voice)
ボランティアではなく自力運営を目指す動物保護ハウス
――動物保護ハウス「さかがみ家」は開業してからどうですか。 坂上忍: 開業して大変だったことは、動物じゃなくてむしろ人のほうですね。保護犬、保護猫との向き合い方を伝えながら、スタッフさんに慣れていただくこと、そしてどんなルーティンを作っていくかということに苦心しました。おかげさまで現在は、いい感じで回っています。ただ、「さかがみ家」が目指しているのが自力運営。利益を上げて、スタッフさんたちにはボランティアではなく、仕事に見合った対価を支給して、なおかつこの施設自体が、自分たちが得た利益で回していけるっていうことにならないと意味がない。しかし今のところ収益はゼロです。 動物の保護にお金を使っていると、立派ですねって言われますけど、きれい事じゃない言い方をすると、とんでもないギャンブルですからね。本当に、人生最後の挑戦だと思っていますし、失敗ができない。それはなぜかというと、動物の大切な命を預かっているから。ギャンブルと言いながら、絶対に失敗ができないんですよ。だからこそお金を稼ぐためだったら、自分の名前を利用するという反則技でも、何でもやろうという覚悟です。ぶっちゃけ、びびってはいますけど。びびりを楽しまないとやっていけないなっていうのが現実ですね。
――坂上さんがペットを飼い始めたのはいつですか。 坂上忍: 動物好きなのは子どもの頃からですが、以前は正直、ダメな飼い主でした。幼少期兄貴と交代で動物を拾ってきちゃって、最終的に母親が面倒を見るというありがちなパターン。で、25歳の頃ひとり暮らししていたとき、ペットショップで売れ残っていたウェルシュコーギーを迎え入れたんですが、当時は遊びたい盛りで、途中から遊びや仕事にかまけて面倒を見るのがおろそかになって。あるとき帰宅したら、玄関脇の壁に引っ掻いた傷と、血がついていた。その子の足を見たら、爪が剥がれていて、血が出ていて…。それを見たときに、「やっぱ俺、動物飼う資格ないな」と思い、友人に引き取ってもらったんです。 それで40歳過ぎぐらいのときに、若いときの過ちを軽減できないのかって思い始めて、チワワを飼うように。それもペットショップの売れ残りでした。それからいろんな出会いがあり、現在に至るんですけど、動物好きの彼女の影響も大きかったですね。