坂上忍「ペットショップで買うしかない?」動物保護の先に見据える日本の課題
――2匹とも売れ残りというのは、何か思いがあるのですか。 坂上忍: 実は2匹目のチワワを飼ったときに、ペットショップの犬って値段が下がるんだと初めて知ったんです。値段が下がるということは、モノなんですよね。最初20万円だったのがどんどん下がって「もしもお客さんが買ってくれるなら10万円にします」って言うから、それで買ったわけです。2匹目も売れ残りの子を引き取って保護したみたいな感覚でした。 でも、ペットのことをどんどん調べていくうちに、ペットショップで犬や猫を買うって違うよな、買っちゃう人がいるから売るんだよ、需要と供給だもんな、じゃあ、そこから残された子たちってどうなるんだろう、と考えるようになった。で、ダメダメ飼い主だったのが、罪滅ぼしの気持ちを抱えつつ動物を飼うようになって、遅ればせながら動物保護の現状を勉強しました。だいぶ遠回りしましたね。 ――そこから学んで、気づいたことってありますか。 坂上忍: やはり「動物はペットショップで買うしかないのですか?」と大声で言いたいです。要は、生体販売ってどうなのかというところへ必ず行き着く。仕事で米・カリフォルニア州の動物保護施設の仕組みや取り組みを見学して驚愕したんですけど、日本が諸外国のようにペットショップのない国になりえるかというと、時間はかかる。自分が生きている間に成し遂げられなくても、次につなげられるような何かをしなきゃならないと思うと、もしかしたら僕がやろうとしていることは、“対ペットショップ”になるのかもしれない。 ――動物保護の問題は山積みですよね。 坂上忍: 根っこは全部、人間の不始末や身勝手さです。人間がする後始末は、結局は、殺処分になるのか。そんなことを無くしたいから、善意や寄付でいろんな団体が保護活動をやっていますが、じゃあすべてが優良企業かというと、これもまた微妙。動物を守ってくれる人を守るため、彼らの生活を保障するために、ちゃんとお金を払えるようになろうよ、収益化しないと活動が続かないじゃん、というのが「さかがみ家」の発想。だから僕がやろうとしていることはけしてきれい事ではない。「起業したんだ」「新しい商売を始めたんだ」と自分に言い聞かせています。