坂上忍「ペットショップで買うしかない?」動物保護の先に見据える日本の課題
きつかった情報番組。次のきついことは……
――ひるがえって動物を保護する優しい坂上さんと、バッシングを気にせず言いたいことを言う強い坂上さんと、世間的にはギャップがあるような印象です。自分をどう見ていますか。 坂上忍: 僕は本当に、卑屈の塊。普通に話していて、景気のいい話なんて出てこないですよ。たとえば動物好きのいい人にされそうになると、急に本能的に身構える。なんてったって、自虐の塊ですから。何かを始めるときもどれだけマイナス材料を集められるかから始まって、それを一つ一つ潰せるものは潰して、これは目がありそうだなっていうのを精査してやるタイプ。ギャンブルで勝ちにいくのもそうですし、ビジネスに対してもそうかもしれません。 顰蹙(ひんしゅく)を買うかもしれませんが、子役から長い年月、人前に出る仕事をしてきて実感するのは、世間の目ってどれだけ甘く不確かなものかということ。プラスとマイナスいろんな評価があるなか、意識的にバランスを取ってコントロールしないと、自分が壊れてしまいます。そこは気を配っていますね。たとえば僕は単純に毒舌キャラで括られることがありますが、僕はおそらく誰よりも怖がりで、びびりなんです。『バイキング』なんて瞬間瞬間で判断していかなきゃいけないわけですから、もう泣きそうなくらいびびってました。自分の発言で多くの人に迷惑がかかるかもしれないという状況のなか、振り切ってものを言うのは精神的にきつかったですね。あやふやにすることは簡単ですけど、あやふやは面白くないし。ごくたまに『バイキング』終わって残念ですという意見も聞くけど、あの役目を終えてから、ホッとしています。 ――俳優業は再開されますか。 坂上忍: 僕はもう、今後はお芝居をやるかどうかもわからないし、もし出会いがあってやれたとしても、限られた本数だと思います。やるならとことん本気じゃないと、お芝居に失礼なので、現状を考えると可能性は低いかな。一方で、バラエティに出演するようになって丸10年。その間はアドリブでやってきたものですから、いきなり台本もらって役者としてセリフを言うのも、なんか忘れちゃいましたよ(笑)。ただ、極悪非道な犯人とかだったら、興味ひかれるかもしれないですね。 若いときは、演技でダメ出しされて、追い込まれて虐げられて、この野郎、見返してやると反発心を持ちながら演じて。で、仕上がりを見ると、なんてすてきな映画になっているんだと感動して、後追いで感謝するっていう。また、苦しい現場を克服したときの達成感を知ってしまい、それが楽しくなって、結局きついとこ行きたがる癖を持ってしまったのかな。だから僕、誰も信じてくれないけど、本当に“ドM”だと思います。慣れないバラエティも情報番組もきつかったけど楽しかった。じゃあ次のきついことは何なんだというと、もしかしたらそれが、「さかがみ家」かもしれませんね。 ----- 坂上 忍 1967年生まれ、東京都出身。2歳で劇団若草に所属し、子役デビュー。その後も多くのテレビドラマ、映画に出演する傍ら、2009年には子どもを対象とした芸能スクールを開校。2012年頃からバラエティ番組にも出演するようになり、2014年に情報番組『バイキング』の司会を務める。2022年4月に動物保護ハウス「さかがみ家」をオープンし、精力的に動物保護活動を行っている。