“能登半島地震”を教訓に…都内で進む「ホテルを活用した二次避難所」の取り組み
手島千尋アナウンサーがパーソナリティを務めるTOKYO FMのラジオ番組「防災 FRONT LINE」(毎週土曜 8:25~8:30)。12月21日(土)の放送では、「ホテルを活用した二次避難所」について取り上げました。
◆“一次避難所と二次避難所”の違い
あなたは一次避難所と二次避難所の違いを理解していますか? 一次避難所は災害から身を守るために緊急的・一時的に避難する場所です。一方、二次避難所は、一定期間、避難者が滞在・生活することを想定した場所で、主に高齢者、障がい者、乳幼児、妊婦など、配慮が必要とされる人が優先的に入ります。 都内では、今年に入って“ホテルを二次避難所に活用しよう”という取り組みが加速しています。 東京都の統計によると、都内のホテル・旅館は3,774棟、約20万5,000室あると言われており、東京都や都内の区市町村では建物の耐震性と大人数が一定期間滞在できるホテルの特徴に着目し、“災害対策に活用しよう”という取り組みが進められてきました。 そして2020年、東京都は“学校や体育館が被災して自治体が必要とする避難所を確保できなくなった場合、受け入れ可能なホテルの情報を区市町村に提供する”という内容で、都内ホテル3団体と災害時の支援協定を結んでいます。 また、自治体レベルでも取り組みが進んでいて、例えば、265程のホテルや旅館がある港区は、現在3つのホテル事業者と協定を締結しています。現時点で最大8,000室を超える部屋を確保できる見込みで、今後さらに増やせるよう準備を進めるとのことです。 この港区の協定では、大規模災害時にホテル側が一定期間、空いている客室や宴会会場を区に優先的に貸し出すこと、体育館での避難生活が長期化する場合、区民にホテルの移動を促すなど、災害対応にあたる行政職員の宿泊も想定しているということです。
◆能登半島地震を教訓に…
二次避難所は、避難生活による疲労や健康状態の悪化が原因の災害関連死を防ぐために設けられます。能登半島地震では、インフラが寸断された影響で学校の体育館など一次避難所の生活環境が悪化し、最大で約5,300人がホテルや旅館を活用したニ次避難所に移ったことがありました。 このことを教訓に、港区だけではなく新宿区や千代田区でも取り組みを加速させています。新宿区では、75歳以上の高齢者や障がい者などが滞在できるよう18のホテル事業者と協定を結び、千代田区では、帰宅困難者がホテルの空いたスペースに一時的に滞在できたり、区の福祉避難所で受け入れきれない人を優先的に客室へ入居させる取り組みに力を入れています。 能登半島地震での教訓から、「ホテルを活用した二次避難所」の取り組みが都内でも加速しているようです。 (TOKYO FM「防災 FRONT LINE」2024年12月21日(土)放送より)