「ロールモデルがいない」三浦瑠麗と蜷川実花、それでも捉われた「昭和の育児」の呪縛
三浦:メンタルは、徐々に鍛えていったんですか? 蜷川:うん、何か大きな転機があったかというと、そんなことなくて。キャリアの積み方で言うと、意外と地道に誠実にやってきてる。だから1つの仕事が次につながり、それがだんだん大きくなって、という感じで。だから本当は反論とか正論とかいっぱいあるんですけど、それをSNSで言っても仕方がないから、腹筋に力を入れて黙ってる。私はやっぱり物を作る人なので、言いたいことはそこでしっかりメッセージに載せて、皆さまに届くように日々努力をしよう、と思って携帯を置きます。 三浦:仕事やチームワークの過程では、面と向かってそんなにひどいこと言われることって少ないですよね。やっぱり見知らぬ人が、勝手に解釈を加えて批判してくることのほうが多い。そういう人って基本、「物を作らない人」だから。何かを作っていたら他の人の批判をする暇がない。 蜷川:いや本当、そんな暇ないのよね。あれ不思議なんだよな。なんで知らない人にコメントすんだろう? 三浦:私たちはそれをさばける人間だからいいけど、いきなりそういう立場に置かれちゃった人は深刻ですね……。亡くなった方もいるほどに。 蜷川:大丈夫だって思っててもね。ドラクエに「毒の沼」ってあるんだけど、そこを歩いていくと知らないうちにちょっとずつ体力が減って、気付いたら死んじゃうんですよ。 三浦:うん、わかるな。そういう感じですよね。 蜷川:大丈夫だと思ってても、続くとやっぱり確実にダメージはあって。それを何とかプラスにできないかなと思って、いろいろ試行錯誤しますけど、なかなか難しいですよね。
今の自分は化け物みたいに強くなってしまった
思いがけないアクシデントや、SNSなどで姿の見えない相手からの言葉に傷つきながらも、年齢を重ねるごとに強くなっていったという2人。それぞれにロールモデルがいないからこそ、すベての風圧を一人で受け、解決して生きるしかなかった、と振り返る。それでも「鋼の女」になりたいわけではない。女性であることを楽しんでいたいという思いも同じだった。 三浦:正直、若い頃から比べると、今の自分は化け物みたいに強くなってしまった(笑)。自分の規律というか、コントロール力を際限なく高めた結果だと思うんですよね。 蜷川:私も、もう取り乱さない。仕事の現場でもトラブルにすごく強くて。仕事場だと全然揺れないんですよね。いつこんな風になったんだろう。 三浦:ふふ。でも、まったくお勧めしませんよね。普通のメンタルで普通の対処能力でもやってける社会にしなければ。 蜷川:みんながこんなのやってたらしんどくて大変。ロールモデル問題だね。 三浦:だから「鋼の女になれ」っていうのは、私は解じゃないと思っているんです。