「ロールモデルがいない」三浦瑠麗と蜷川実花、それでも捉われた「昭和の育児」の呪縛
三浦:私の母は、専業主婦で5人育てたので、その記憶を手掛かりに自分もやっている部分もあります。さすがに布おむつは使わなかったけど、やっぱり母の記憶を継承する。そうすると、30年くらい前の女性の生き方をそのままお産、子育てに関して受け継いじゃうわけですよ。もしフランスみたいに、システマチックに最初から、「政府のお金で派遣ナニーが来ます」みたいな話だったら。あ、そうなんだって受け入れたかもしれない。 蜷川:私、5歳まで、父に育てられたんですよ。当時は母のほうが断然稼いでいたので。ひたすら父がミルク作っておむつを変え、日光浴させて……。それなのに自分が母親になったら、「こうでなければいけない」って意外と昭和の子育てにとらわれるなんてね。
巻き込まれた時に、黙っていられるかどうか
注目度の高さから、発言が逐一話題になる2人。自身の表現方法、SNSとの付き合い方については、ずっと模索しているという。「現代の情報社会においては、あえて『黙っていること』に意味がある」という三浦の指摘に、蜷川も共感する。 三浦:「黙っている」ことは、私は父方の祖母から学びましたね。母方の祖母は豪胆だったから、多分私はそちらの方に似ているのだけれども。それは女だからという意味じゃなくて、考えずに言葉を発すると唇寒いケースっていっぱいあるよね、ということなんです。今の時代の「黙っている」は、仲間を作って一体化したいという欲望に抗うことであったり、あるいは人に対する怒りを抑えるということだと思う。私たちも生きてればいろんなことに巻き込まれるじゃないですか。巻き込まれた時に、黙っていられるかどうか。それが今のSNS、情報化社会において一番大事かなと。 蜷川:分かる! たまにとんでもないのが来るじゃないですか。すごく言いたいこと、いっぱいあるんだけど、言わない。 三浦:Twitter見てて、「あ、黙ってる、実花さん偉い!」と思ったシーンがありました。 蜷川:なんかもう、あーっみたいな。 三浦:絡まれるのは女だから? 女だけど折れないから? 蜷川:女だからの前に、蜷川幸雄の娘だからかな。最近はさすがにもう亡くなってだいぶたつので減ってはきましたけど、22歳でデビューした時はそれが非常に大きくて。女で、若くて、2世で、なんか派手そうだしっていうことで、むかつかれるカードのすべてを持ってたと思う。