フジコ・ヘミング、音楽の原点は“色”「センチメンタルなものもいいじゃない」
楽しいことばかりの人生なんて 「センチメンタルなものもいいじゃない」
幼少時に別れたスウェーデン人の父への複雑な想いやピアニストの母からの厳しいレッスン、ハーフへの差別、国籍の消失、貧しい留学生活、音楽の成功を目前に聴力の喪失など、フジコの人生はまさに山あり谷あり起伏の激しいものだった。 「楽しいことばかりあって悲しいことはないっていうのはちょっとどうかと思う。センチメンタルなのもいいじゃない」 映画「フジコ・ヘミングの時間」のなかでフジコ自身が何気なく語っている言葉だが、それはそのままフジコの生きてきた時間を端的に表現しているような言葉だ。同作ではヨーロッパや日本などいろいろ場所にフジコがいて、その場の光がやさしくて印象に残る。 「私は光がすごく好きで。とくに夕暮れの、電気をつける前の、太陽が射しているとき。じーっと外に座って、ああショパンの生きてたときも同じ光が射していたのかな、と思っちゃいますね」 (取材・文・撮影:志和浩司)
「フジコ・ヘミングの時間」(小松莊一良監督) 6月16日(土)シネスイッチ銀座ほか全国順次ロードショー