古江彩佳が明かす勝負の一打の舞台裏/メジャーV凱旋インタビュー
「アムンディ エビアン選手権」で日本勢4人目となる女子メジャー制覇。ビッグタイトルをつかんで日本へ凱旋帰国した古江彩佳が17日、GDOのインタビューに応じた。最終18番(パー5)、劇的なイーグルフィニッシュにつなげた勝負の一打の舞台裏を明かす。(取材・構成/亀山泰宏) 【画像】メジャーチャンピオンの古江が日本に帰国
サンデーバックナインの終盤で見せた神がかり的なプレー。古江は「“ゾーン”に入っていけたのは、14番くらいかなと思います」と、あっさり言ってのける。10mのバーディパットを流し込んだパー3から、集中力が高まってフィーリングが研ぎ澄まされていく感覚があったという。 同じ最終組のステファニー・キリアコウ(オーストラリア)と通算17アンダーで並んで迎えた18番、極限ともいえるショットが出た。右のファーストカットから池越えのグリーンを狙うセカンド。残り180yd近い状況下、キャディのマイク・スコット氏は最初に7Iを勧めてきた。普段なら短い番手だが、標高が高く、気候も温暖なエビアンでは「飛ばしに行くと、7番でも165ydくらい飛ぶ時もあった」からだ。
試合中はアグレッシブな古江に対し、どちらかといえば堅実な策を提案して絶妙なバランスを保つ“慎重派”の相棒。しかし、この時は首を振った。「『ムリじゃない?』って。“見かけ”が遠かったんです。『この見かけじゃ、7番は自信がない。6番で段を使って(ピンを狙って)いきたい』って言いました」。標高が高く、ボールが飛ぶ傾向にあるコースでも、セミラフからではかなり距離が落ちるケースがあったことをインプットしていた。
やり取りによって晴れた、わずかな迷い。少し“薄かった”当たりはグリーン手前ギリギリにキャリーして傾斜を伝い、ピンそば3mについた。ほんの数ヤード短ければ水しぶきを上げたショットも、周到に“保険”をかけていたから会心と胸を張れる。 キリアコウもバーディチャンスにつけた中でのイーグルトライは、フックしてスライスするスネークライン。「最悪はバーディを獲れるタッチで狙いたいと思いながら。やっぱり両方のブレーク(曲がる)するのを読み切るのは難しかったかなと思うんですけど。しっかり入れることに集中してできたかな」。仕上げまで完ぺきな締めくくりには、今でも「(普通に考えれば)あり得ないですよね」と白い歯がこぼれる。