渦巻く“限界説”を長友佑都はどう受け止めているのか…W杯最終予選欠場の吉田麻也から「頼んだぞ」の伝言
代表で一時代を築いた自身を脅かす存在として台頭してきた中山を、長友は「自分とはまったく違うタイプ」と受け止め、そのプレーをリスペクトしたことがある。 「僕は幅を取って仕掛けていくタイプだけど、雄太(中山)は上手くポジションをとりながら、ポゼッションにも加わって前線の選手を生かせるし、テクニックも高い。もともとはボランチやセンターバックだけど、サイドバックの役割をこれだけ早く認識してプレーできるのは、インテリジェンスの高さも物語っていると思う。35歳の僕としても、後輩のプレーからいろいろと吸収しようと必死に頑張っています」 長友は無尽蔵のスタミナを駆使し、左タッチライン際で何度も繰り返す上下動を生命線としてきた。もっとも、オマーンに献上した決勝点に象徴されるように、攻め上がった背後に生じるスペースを対戦相手も研究し、日本の弱点として突いてくる。 対照的に中山は縦への突破だけでなく、センターバック出身ならではの守備力の高さを生かして後方を支援しながら、状況を見ながら内側のレーンへ顔を出して攻撃の組み立てにも参加。利き足の左足から精度の高いクロスやパスを放つプレーも得意とする。 中央にスペースがない現代のサッカーで求められるサイドバック像は、ゲームメイクもできる中山のプレースタイルに近い。実際、オーストラリア代表との第4戦と敵地でオマーンに借りを返した第6戦では、中山の投入後に決勝点が生まれている。
アジア最終予選をめぐる一連の状況に、貴重な交代のカードを負傷以外で最終ラインの選手になぜ使うのか、という森保監督の采配に対する疑問が加わり、結果として長友の存在を不安視するファン・サポーターの思いが批判に変わってきた。 もっとも、世代交代を求める声を長友本人はポジティブに受け止めている。 「ロシアワールドカップの前から『おっさん、おっさん』と言われていたので免疫がついているし、おっさんのパワーを見せつけてやろうという気持ちも芽生えてくる。それだけサッカーを、日本代表を愛する人がたくさんいると思っているし、ありがたい環境のなかで自分も若い選手たちに負けることなく、さらに強いエネルギーで戦いたい」 中山と交代する時間が早まった昨年11月シリーズ中にこう語った長友は、森保監督から託され続ける先発としての役割を、新型コロナウイルス禍のもとで設けられ、今シーズンも継続される特例措置を踏まえて、キャンプ初日にこう結びつけている。 「過去と違うのは交代枠が5つあること。僕だけじゃなくて他の選手たちもいつ潰れてもいいと、行けるところまで行こうと思って戦っていると思う。もちろんそれはいまに始まったことじゃなくて、代表とはそういう場所だと常に思っているので」 3試合を終えて1勝2敗と大きく出遅れた今回のアジア最終予選は、実績に基づく序列を頑なに崩さない森保監督の選手起用に対する批判が、序盤戦で精彩を欠くシーンが目立った長友やFW大迫勇也(31・ヴィッセル神戸)へも向けられた。 「そういう年齢になってきたけど、評価は1試合でがらりと変わる。最近のメディアを見ていると、長友さんや大迫も同じ気持ちを持っているのかなと思う」 アジア最終予選が始まる直前に33歳になった、キャプテンのDF吉田麻也(サンプドリア)が、ベテランと呼ばれる選手たちが共有する、批判をプレーで見返してやりたいという思いがいい意味で原動力になっていると明かしたことがある。