コパ・アメリカMVPのハメスは欧州に復帰できるのか。サンパウロとは契約解除間近だが「いつまた輝きを失うかわからない」【現地発】
とにかく安定しないメンタル面に課題
それにしても、である。コロンビアの希望の星と謳われた逸材は、なぜこのようなキャリアを歩むことになったのか。マドリーとバイエルンに所属したその経歴は、確かな才能を証明するものだ。目利きに長けたこの2つのビッグクラブが、選手の力量を見誤るはずはない。 ハメスはピッチ内外で問題ばかりを起こすいわゆるバッドボーイでもない。ただ、メンタル面に課題を抱えているのは確かだろう。とにかく安定しないのだ。波に乗っている時はその特大の才能を遺憾なく発揮する。だが、乗っていない時はまるで輝けない。サンパウロにおいても24年シーズンは公式戦でわずか8試合しかプレーしていない。 「残念ながらハメスに賭けることはできない」 そう語ったのは、サンパウロを指揮するアルゼンチン人のルイス・スベルディア監督だ。コパ・アメリカで活躍した後もその考えは変わらなかったようで、契約解除が既定路線。彼らはハメス・ロドリゲスという選手をよく知っているのだ。 ハメス自身は現在、ヨーロッパに戻りたいという希望を持っている。新天地の候補としてはアトレティコ・マドリーやビジャレアル、その他にもコロンビアの複数のクラブの名前が挙がっているが、いずれにしても、すんなりまとまる商談ではないだろう。ちなみに、サンパウロ内部の知り合いに聞いたところ、コパ・アメリカ後、どこからも正式なオファーは届かなかったようだ。 ハメスの卓越したテクニックや創造性はチームにとって大きな武器になる。コパ・アメリカを観る限りは、状態もいいだろう。だが、いつまた輝きを失うかわからない。残念ながらこれまでのキャリアが、ハメスのすべてを物語っている。かつての美少年もすでに33歳。迎え入れるクラブにとっては、その年齢もネックになるだろう。どのクラブも大事な時間とカネを、無駄には失いたくない。 取材・文●リカルド・セティオン 翻訳●利根川晶子 【著者プロフィール】 リカルド・セティオン(Ricardo SETYON)/1963年8月29日生まれ、ブラジル・サンパウロ出身。ジャーナリストとし中東戦争やユーゴスラビア紛争などを現地取材した後、社会学としてサッカーを研究。スポーツジャーナリストに転身する。8か国語を操る語学力を駆使し、世界中を飛び回って現場を取材。多数のメディアで活躍する。FIFAの広報担当なども務め、ジーコやカフー、ドゥンガなどとの親交も厚い。現在はスポーツ運営学、心理学の教授として大学で教鞭も執っている。
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