広げたい大人の笑い スタンダップコメディアン清水宏に聞く
広げたい“大人のあるある”楽しむカルチャー
「そうこうしているうちにコロナ禍になり、今はいろいろな状況を見ながら進めています。落語や一人芝居などもそうですがスタンダップコメディは集団で稽古をしなくて済むので、密状態を避けなければいけないコロナ禍ではローリスクな面もあるかと思うんです。協会の公演でも、僕とぜんじろうとラサール石井さんとインコさんでネタ合わせはしません。ネタがかぶらないことだけ確認したら、あとはそれぞれで準備するんです」 今後は“大人のあるある”を広げていきたいと前向きだ。 「大人が楽しめる、大人の笑いがまだまだ少ないと思うんです。政治的な題材で大上段に構えてのスタンダップもありですが、僕が今考えているのはむしろ生活の中に普通にあるいろいろなこと、税金問題でも子育てでも会社のストレスでも、大人がシンパシーを感じることのできる題材を幅広く話題にして笑っていこうじゃないかと」 たとえば会社員が会社帰りにぶらっと寄れるような場に育てていきたいという。 「小銭払って1時間ぐらいのスタンダップを見て笑いながら『そうそう、ホントそうだよね~。じゃ帰って寝るか』って帰るみたいな文化を作りたいんです。いろいろな人が共存する場所。多数派にいられない人も。学校で話し相手がいない、職場で相談相手がいない、今いろいろと苦しい人も楽に呼吸できる場。ステージは演じる側からお客さんへの一方通行ではなくて、笑うことを通してお互いが変わったりするんだと思いますし、そんな場を作れればと願います」 スタンダップコメディで大人のあるあるを楽しむカルチャー。根付かせることができるか。 (文・志和浩司)