来年6月開幕「サッカーW杯」 “史上最強”日本代表が絶対に避けたい「地獄のグループ」とは
グループB、D、Gのメリット
同様の理由でグループF(ダラス、モンテレイ、ヒューストン、カンザスシティ)とグループK(ヒューストン、メキシコシティ、マイアミ、グアダラハラ、アトランタ)も避けたいところだ。 逆にアメリカがシードされたグループDはロサンゼルス、バンクーバー、サンフランシスコ、シアトルと2か国にまたがるものの、バンクーバーでの試合は1試合のみで、いずれも西海岸で試合ができる。同じようにグループGも試合会場はロサンゼルス、シアトル、バンクーバーとこちらも西海岸での連戦のため移動の負担が軽減されるだろう。 いずれのグループも第1ポットのシード国は強豪揃いだが、グループBでカナダと同居するのも悪くないだろう。FIFAランクは33位に加え、カナダとの開幕戦こそトロントだが、それ以外の試合はバンクーバー、シアトル(サンフランシスコ)、イングルウッド(ロサンゼルス)とこちらも西海岸での試合が多いからだ。 もしもグループBを1位で突破すれば、ラウンド32と16はバンクーバーに居座って試合をすることができる。2位でもロサンゼルス、ヒューストンの連戦のため、ベスト8進出の可能性は高まるはずだ。
ストロングヘッダーの発見が課題
最後に日本の戦力分析だが、選手の年齢構成と選手層の厚さは「史上最強」と言っていい。これまでポストプレーのできる1トップ候補は上田綺世しかいなかったが、2024年11月のインドネシア戦と中国戦では小川航基が台頭。レギュラー争いの激化は大いに歓迎したい。 日本の弱点とされてきた正GK争いも、24年1月のアジアカップで抜擢された鈴木彩艶は不安定なプレーから失点を重ねたものの、パルマへの移籍で評価を高めている。屈強なフィジカルはこれまでの代表GKにはなかった武器だけに、このまま成長を続けて欲しいものである。 唯一、日本に欠けている“武器”を指摘するとしたら、試合終盤のビハインドの状況で投入できる「パワープレー」要員である。カタールW杯でも劣勢の状況でオランダをはじめとするヨーロッパ勢は、ためらうことなくストロングヘッダーを起用してパワープレーを選択していた。代表強化のための時間が限られているからこそ、空中戦に活路を見いだすのは理にかなっている。 問題は日本にそうしたストロングヘッダーがいるかどうか。現状で190センチを超える攻撃的な選手は代表に見当たらない。候補となるJリーガーは京都FWの原大智(191センチ)くらいか。森保ジャパンにとって、ストロングヘッダーの発見がW杯までの課題と言えるだろう。 六川亨(ろくかわ・とおる) 1957年、東京都生まれ。法政大学卒。「サッカーダイジェスト」の記者・編集長としてW杯、EURO、南米選手権などを取材。その後「CALCIO2002」、「プレミアシップマガジン」、「サッカーズ」の編集長を歴任。現在はフリーランスとして、Jリーグや日本代表をはじめ、W杯やユーロ、コパ・アメリカなど精力的に取材活動を行っている。 デイリー新潮編集部
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