来年6月開幕「サッカーW杯」 “史上最強”日本代表が絶対に避けたい「地獄のグループ」とは
「日本代表は北中米W杯で、どこまで勝ち進むことができるか」──なんと答えたらいいか、困ってしまう原稿の依頼だ。日本はまだ出場権を獲得していないので、書きようがないというのが正直な感想である。断るのは簡単だが、それもちょっと悔しい。そこで、簡単な展望ならできるのではないか。そう思ってパソコンに向かうことにした。【六川亨/サッカージャーナリスト】 【写真をみる】W杯フランス大会で、初出場の日本代表を率いた不世出の“司令塔”。現役時代の勇姿はもちろん、引退後のスタイリッシュなスーツ姿も目を引く ***
2026年6月から7月まで開催される予定の北中米W杯は2つの「史上初」がある。02年のW杯は日本と韓国の共催だったが、次回はアメリカ、カナダ、メキシコの3か国の開催となる。そして参加国も22年カタール大会から16チーム増え、過去最多の48チームによって争われる。出場国の増加により、試合数も従来の64試合から104試合に増えた。 大会はこれまで通り4チームずつ12グループに分かれてのグループステージの後、各グループの上位2チームと、3位の成績上位8チームの計32チームが決勝トーナメントに進出。日本が当面の目標とする「ベスト8」は、これまでなら決勝トーナメント初戦のラウンド16を突破すれば実現できたが、次回からは2回勝たないと目標に届かない。それだけ「ベスト8」の壁は高くなったといえる。 カナダ、アメリカ、メキシコと北米大陸を縦断して中米まで移動するのは、チームにとっても観戦するファン・サポーターにとってもかなりの負担を強いられる。しかし組織委員会もそこは熟考したようで、すでに発表されたグループ分けは3つの地域に分けられ、移動は2か国に限定された。 12グループのうち4グループは中央地域、3グループは西部地域、残りの5グループは東部地域に割り当てられた。
勝敗を決める“伏兵”は移動距離
各グループの地域分けは、 中央地域がアメリカのヒューストン、ダラス、カンザスシティと、メキシコのグアダラハラ、メキシコシティ、モンテレイ、 西部地域がカナダのバンクーバーとアメリカのシアトル、サンフランシスコ、ロサンゼルス、 そして東部地域がカナダのトロントとアメリカのアトランタ、マイアミ、ボストン、フィラデルフィア、ニューヨーク/ニュージャージー、 という地域分けだ。 ご存知のように、東西に広大なアメリカは東部と西部で最大3時間の“時差”がある。こうした“縦割り”による地域分けは、少しでも時差の影響を最小限にとどめようという配慮である。 それでも、例えば開催国でグループBにシードされたカナダだけは6月12日に地元のトロントで開幕戦を戦ったあと、18日の第2戦はバンクーバーまで移動しなければならない。両都市の時差は約3時間。ただし、中5日での連戦のため負担もそれほどではないかもしれない。 このため移動の負担を軽減し、日本が悲願とする「ベスト8」に進出するためには、どのグループに振り分けられるかも重要なポイントとなる。日本がグループリーグで敗退した14年ブラジルW杯では、ベースキャンプにしたイトゥー(サンパウロ)から初戦の開催地であるレシフェまでの移動距離が沖縄-札幌間に匹敵した。試合翌日にサンパウロへ戻り、2日後にはさらに北部のナタールへの移動を強いられた。