Googleに70億ポンド求める集団訴訟 問題視された“2つの争点”
モバイルブラウザでも訴訟の可能性?
Googleが直面するもう一つの潜在的なリスクは、CMAが「2024年デジタル市場・競争・消費者法」(Digital Markets, Competition and Consumers Act、以下DMCCA)を基に主要なプロバイダーを規制する可能性があることだ。 CMAは、モバイルブラウザ市場への介入が必要かどうかを検討していると発表した。この方針は、AppleとGoogleの両方に影響を与え得る。CMAは2024年11月、「モバイルブラウザとクラウドゲーミングに関する暫定決定報告書」(Mobile Browsers and Cloud Gaming Provisional decision report)を発表し、モバイルブラウザに関する複数の技術が市場の競争を阻害していると指摘した。 報告書は「Appleのさまざまな方針が他ブラウザによるイノベーションを抑制している」と指摘する。報告書が挙げる問題点の一つは、AppleのOS「iOS」で動作するWebブラウザは、Appleが開発するHTMLレンダリングエンジン「WebKit」を使用しなければいけない点だ。このことが競合他社による機能提供を制限していると報告書は主張する。 AppleがWebKitを使用する競合モバイルブラウザに対し、AppleのWebブラウザ「Safari」と同程度の機能を提供するのを遅らせた、もしくはアクセスを拒否した可能性があるとも指摘している。 報告書によると、Googleの製品設計もWebブラウザの市場競争を「著しく困難」にしているという。DMCCAに基づき、CMAはAppleやGoogleの間で市場競争が機能しているかを検討できるようになる。 CMAの独立調査グループの議長を務めるマーゴ・デイリー氏は、「調査を通じて、モバイルブラウザ間の競争がうまく機能しておらず、英国のイノベーションが阻害されていることが浮き彫りになった」と述べる。 Appleは報告書に対して、次のように主張する。「Appleは、イノベーションが進む活気のある市場を信じている。われわれは全ての事業領域、地域で競争に直面している。われわれが常に重視しているのはエンドユーザーからの信頼だ。報告書の調査結果には同意できない」 Appleは「DMCCAに基づくCMAの将来的な介入が、エンドユーザーのプライバシーとセキュリティを損ねることを懸念している」とも指摘する。「Appleが他社と差別化する技術を開発することを妨げるとも懸念している」として、CMAと「建設的に協力していく」という。