【東京V】城福監督ギラギラ「超野心的な目標を持って戦うということ」成長と競争力がキーワード
東京ヴェルディは7日、磐田からパリ五輪代表DF鈴木海音ら新加入8人が加わり、31選手がそろって始動した。平均年齢は24・17歳で、フィールド選手に限れば23・73歳。J1で最も若かった1年前よりもさらに1歳近く若返っている。 気持ち良さそうに練習に取り組んでいたMF森田晃樹は「去年からあんまり人が変わってないというか、新しい選手でも知っている顔もいたりするので、いつもよりチームになじませようという感じはない」と初日の印象を語った。 クラブはさらなる上積みのため、期限付き移籍していたFW木村勇大、染野唯月、山見大登、DF林尚輝を完全移籍で買い取った。「安い金額ではなかった」が、成長戦略を描く上での必要投資だった。そこへ経営面では昨年12月に債務超過を完済し、事業面でも成長している。「いい循環ができている」(中村考昭社長)という。 さまざまな追い風が吹く中、新体制会見に臨んだ城福浩監督は決意を込めてあいさつした。 「自分たちがJ1でまた戦っていくために必要なメンバーはそろったなというふうに思います。我々のキーワードとしたら、今年も成長なんですよね。プレシーズンもそうですけど1試合、1試合、いいことも苦しいことも全部、自分たちの成長の糧にして、次に向かっていける集団であり続けて、どこかのタイミングで階段を1つ上がるような成長をみんなで感じながら。それが1段でなく、2段でも3段でも上がるような、そういうタイミングがあれば、このチームはもっと超野心的な目標に向かっていけると思います」 超野心的-。ギラギラとした鋭いまなざしの指揮官は、とんがった言葉を口にした。それが何を指しているのか質問されると、こう回答した。 「昨年は野心的という言葉を使わせていただいたんですけど、同じ言葉だと進化がないなと思ったので。超野心的が何なのかはあえて口にしないです。みなさんの評価にお任せするとして。1つ言えることは、昨年はリーグ戦ではそれなりにサプライズを起こせたのか、野心的な目標に手が届きそうになったのかは置いといて、いろんな可能性を示せたと思うんですけど。カップ戦については早々に敗退したので、我々が戦いうるすべての大会において、超野心的な目標を持って戦うということです」 若いチームを率いて昨季リーグは6位と大躍進。そのメンバーがほぼ残った中、さらなる成長に向かうシーズンになる。これまでのスタイルを継続しつつ、どういうプラスアルファを加えていくのか。さらなる躍進のためには指揮官はどうアプローチしていくのか。 「(昨年)我々が何をしたかって言うと、その試合の対策ではなく、やっぱり日々のことなんですよ。日々のウォーミングアップ、パスコン(パス&コントロール)のところから他のチームに差をつける。やるべきことは日常であって、スタジアムのピッチに立った時はそれを表現するだけであって、スタジアムのピッチで特別なことはできない。これをみんな忘れないようにするとか、常に認識しながらやればおのずと成長による競争というのは獲得できると思っています。やり方は変わらないです」。 その上で「サッカーのところで言えば、決定的なチャンスをもっと超決定的なチャンスにしたい。1つのクロスに対して2人入っているんじゃなくて、より入っていきたい。というようなところの1つ1つの質というのは攻守において上げていくということです」と説明した。 そして所信表明も込めてこう話した。 「サッカーのトレンドというのはヴェルディを見れば現代サッカーってこう変わっていくんだなと。ヴェルディを見てれば、サッカーで普遍なものがあるんだなと。この2つが分かるようなサッカーをするのが目標。ある意味ベーシックなものを高めれば対策のしようがないんですよ。そういうチームを作る中で、特徴的なサッカーをするというところ。それはベーシックなものが備わっていて、初めて表現できると思っている。それともう1つは選手交代によって同じようなシステムでもものすごい攻撃バージョンになったりとか、守備一辺倒でなくてマイボールにしながら時間を経過させるような守備的な終盤を迎えられるよう、そういうことも可能になるような競争力を付けていきたい」 城福監督にとっては4季目となるヴェルディでの挑戦。いつものことだが、具体的な数字や目標は口にしない。それでも「超野心的な目標」には、ACLという夢舞台も視野に入っている。【佐藤隆志】