美食家たちを驚かせる、世界中どこにもない“切れ味”から生まれる料理を作る三兄弟に迫る
本田:料理に興味を持ったのは、子どものときから?
遊士丸:普段から自分たちで獲ってきた山菜や川魚を調理して食べていたんですけど、お店で食べた味と自分たちが作る味は全然違う。せっかく獲ったものをよりおいしく食べられるとうれしいので、最初はそういうところから料理に興味を持つようになりました。 本田:料理は本を読んだりして覚えたの? それともお父さんに教えてもらって? 遊士丸:魚の捌き方とかはYouTubeを見ながら、見よう見まねで。後は、お店に行ったときに聞いてみたりとか。窓ガラスにへばりつくように見ていたら、お店の人も「興味あるの?」みたいな感じで教えてくれました。それから料理の専門書を見て、自分たちでまねて料理したりもしました。 本田:何歳からそんな本読んだりしてるの? 遊士丸:実際に料理本を読みだしたのは、小学校高学年から中学生ぐらいです。 本田:マジで? 遊士丸:毎日、一つずつ何か作って、おいしいかおいしくないかみたいなのをやって。自分たちがおいしいものを作ってみたいっていうところから始めて、少しずつ料理の幅を広げていきました。
本田:それはもう3人とも共通の趣味なんだ。みんなで料理し合ってみたいな。
遊士丸:そのときから、兄弟それぞれ好みがあって。陽之進は卵とか、分量をきっちり量る料理が好きで、凛志郎はご飯を炊くのが好き。僕は炒めたり、焼いたり。その瞬間で料理するのが好きですね。 本田:だんだん3人の好みとか、担当も分かれて、その世界をそれぞれ突き詰めていってる感じなんだ。
遊士丸:始めは遊びからです。川で石と石をすり合わせて、誰が一番鋭くできるかっていう遊びを小さい頃にしてました。そこから何かを研ぐということに、すごくわくわくするものを感じるようになって。中学生ぐらいのときに藤原 将志さん(※)に出会って、刃物の切れ味というものを教えてもらいました。それまではどうやったらこんな風に切れるかとかあんまり考えたこともなかったんです。藤原さんによく切れることと、味がおいしく切れることは違うんだということを丁寧に教えてもらいました。研いで切れるようになると、おいしくなるっていうのがかなり衝撃的で。そこからさらにのめりこみました。