美食家たちを驚かせる、世界中どこにもない“切れ味”から生まれる料理を作る三兄弟に迫る
(※)藤原 将志さん:包丁を鉄鋼、砥石、食材の違いなどからさまざまな角度から研究し、研ぎ方と味の違いについて追及。トップシェフ達が教えを請う、日本を代表する研ぎ師。 1984年生まれ、三重県松阪市出身。月山義高刃物店3代目。
本田:普通は藤原さんのことを知らないでしょ。何で知ってたの?
遊士丸:本です。僕らにとっては憧れの人だったんですよ。父は、僕たちが興味があると、いろいろ本を買ってきてくれるんですけど、研ぎの本も10冊ぐらい買ってくれました。大体、同じようなことしか書いてないんですが、藤原さんが書かれた本だけは違っていて、「え?」となって。この人、どんな人なんだろう、すごいなとずっと思ってました。たまたま知り合いが行っていた砥石屋さんが、藤原さんと一緒に商売をされていたんです。その方に包丁のことを尋ねていたら、いい人を紹介してあげると言って紹介していただいたのが、まさしく藤原さんで。あの人に会えるの?みたいな感じでした。 本田:うれしかったんだ。で、藤原さんの講習を受けて。 遊士丸:僕らも講習を受けるまでは、自信満々で結構よく切れるぞと思っていたんです。けど、いざ受けてみると上には上がいて。その上の上もいるようなすごい世界。講習の後、押し掛けのような形で、お正月とか、お店が暇なときに教えてもらいに行きました。帰り際にまた来てもいいですかって言ったら、仕事を手伝ってくれるんだったら、来ていいよって言ってくださって。それから3、4年の間、毎月1回、3人で行くようになりました。朝4時に起きて藤原さんの所まで行って、それから泊まり込みで3日間。仕事を手伝いながら、いろいろ教えてもらいました。藤原さんが他と違うのはきちんと理論があって、こう切ったときにこうなるからおいしいっていうのが、僕らもすっと理解できる。研ぐことにのめりこんで、今に繋がるという感じです。
本田:そこで切れ味がテーマになってきている。その辺が形になったのって何年前ぐらい?