「なんで?お金ないの?」有期契約のシングルマザーがショックを受けた「我が子が言われた言葉」
5月11日、韓国で日本人女性が「売春目的で入国した」と逮捕されたことが報じられた。止まらぬ円安で、日本の景気が悪いことを象徴する事件でもある。 【写真】貧困で食べ物がない…子どもたちのリアルな声 厚生労働省の「令和3年版 全国ひとり親世帯等調査結果報告」によると、全国のひとり親世帯のうち、母子世帯数:は約84.9万世帯。ひとり親世帯の約85%に及ぶ。そのうち正規雇用は48.8%、派遣やパートなどの非正規雇用が42.4%、不就労が9.2%で、平均世帯収入は373万円。 ちなみに父子家庭の平均世帯収入は606万円だ。 日本の平均収入は450万円と言われるが、母子のひとり親世帯は平均収入を下回る人が多いことがわかる。 自ら非正規雇用の生き方を選ぶ場合ももちろんあるが、日本では非正規雇用の比率が増加し続けている。景気が悪い中でさらに非正規雇用が増加しているということもあるだろう。 一生懸命働いても貧困から逃れられない。その影響を大きく受けるのは未来ある子どもたちだ。経済格差による教育格差が注目されてきているが、「教育」には進学だけでなく、様々な「体験」も含まれる。国内外をじかに見ることで学ぶことは多いし、スポーツを習うにもお金がいる。しかし「お金がない」ことでそんな「体験」をあきらめざるを得ない現状が実際あるのだ。 そんな現状を日本初の調査で可視化し、分析したのが今井悠介さんの『体験格差』(講談社現代新書)。本書から抜粋紹介する4回目は、公務員として1年契約で仕事をする2児の母の現状を伝える。
十分な社会的サポートがない
ひとり親家庭の多くは、厳しい経済的な制約の中で暮らしている。その大半は仕事をしており、それに加えて子どもの生活の面倒を見たり、勉強の世話をしたりもしている。家庭の中に大人が一人しかいないことは、時間的にも、精神的にも大きな制約となる。十分な社会的サポートがない中で、子どもたちの「体験」にとっても、その影響は大きい。
姉の家でSwitchをさせてもらう
---------- 事例2:体験は後回しに 小西尚子さん 長女(小学生)・長男(小学生) ---------- 小西尚子さんは1年契約の不安定な仕事で働きながら二人の子どもを育てている。普段は旅行に行くのも難しいが、今年の夏は他県に住む姉夫婦の家まで家族で泊まりに行った。 ──お子さんたちと動物園や、海、旅行などに行かれることはありますか。 「動物園は年に1回、無料の日があるので、その日に行ったりします。 旅行は行けていないですね。ただ、私の姉が他県に住んでるんですけど、今年の夏は私の両親がレンタカーを借りてくれて、子どもたちと一緒に乗せてもらって行きました。親は一泊で帰って、私たちはもう一泊したので、自分では帰りの電車代だけ払いました」 ──お姉さんの家ではどんなことをしましたか。 「庭でプールをしたり、スイカ割りをしたり。近くに、子どもたちが一日中遊べるような大きな公園があるので、そこにも行きました。姉の子どもと一緒に行って、みんなすごく楽しそうでしたね。 あとは、姉の家でゲームをやらせてもらって。自分の家にはゲームがないので」