「韓国サッカー、どうしたの?」直球質問の数々に韓国スポーツ紙の敏腕記者が本音で回答!「日本人選手の闘争心は大きく変わった」【現地取材】
もはや暴力や暴言はタブー。でも優しさは重要ではない
――スポーツの世界で、儒教的伝統が弱くなってきたことは、スポーツの強化に影響している部分はありますか? 金「韓国のMZ世代(日本のZ世代)は個性が強く、自己主張が強いです(※韓国のイ・ガンイン、日本の久保建英らがこの世代に当たる)。この世代は、公正性を重視し、水平的なコミュニケーションを好みます。 この世代に対して、監督がただ叱るだけ、怖がらせるだけでは選手はついてきません。ですから、指導者の場合も、誰からも尊敬される人物であるかどうか、専門性があるかどうか、さらに水平的なコミュニケーションができるかどうかが非常に重要になってきました。 賢い指導者は、自分の能力をきちんと表現しながら、同時に選手が自分の役割を果たせるように指導します。だから、その役割の良し悪しを評価しながら、選手にプレッシャーをかけたりもします。 最近では、専門性を備えつつも、水平的にコミュニケーションを取り、選手の役割分担を適切に行ない、それをよく評価する指導者が有能だと評価されています」 ――日本もそうですが、スポーツ教育の現場で、暴力、暴言は絶対ダメというふうになっていますか? 金「以前は結果を重視していたため、暴力などなんでも許される雰囲気がありましたが、今は結果も重要ですが、過程も重要視される時代になっています。それは選手の人権ともリンクしています。暴言や暴力を正当化できないのは当然のことであり、過程の価値が重要視されるようになり、暴力や暴言がよりタブー視されているようです」 ――暴言まではいかなくても、激しい言葉を使うのも控える雰囲気がありますか? 金「言葉を使う場面は、すべてが客観化できる部分ではないので、それはありますね。例えば、ソン・フンミン選手のケースがそうです。 ソン選手の特徴のひとつが、成長過程で父親から直接サッカーを教わったということです。非常に厳格なスパルタ式の訓練を受けたのですが、ソン選手の父親から厳しく指導された選手はソン選手以外にもいました。しかし、その選手や選手たちの両親は、父親の乱暴な言動に愛情が込められていると思っていたので、批判しませんでした。 ソン選手もそれをそのまま受け入れていました。けれども、最近、ある保護者がソン選手の父親の教育方針に不満を提起して、問題が再浮上し、ソン選手の父親が謝罪の意を伝えることになり、それが話題になりました。 厳しい言動が時代的にタブー視されているのは事実ですが、それが完全になくなったとは言えません。なぜなら、あくまで指導者と選手の信頼関係で行なわれることでもあるからです。優しく接するとうまくいく選手がいる一方で、叱るとうまくいく選手もいます。客観化することはできませんが、選手個人の性格、指導者との信頼関係によって変わる問題だと思います」 ――どんなコーチが人気ですか? 優しいコーチが人気ですか? 金「もちろん、暴言をするコーチはダメですが、優しければ人気があるとは限りません。優しさは重要ではありません。今は選手だけでなく、ファンも情報を得る手段が多様化しているので、それぞれの専門性が重視されています。 どれだけ指導力のあるコーチかどうかが重要視されています。結局、どれだけカリスマ性があるか、高いレベルの専門知識を持っていて、選手を導くだけの実力を持っているか、また、選手に明確にモチベーションを与えることができる指導者であるかどうか、そういったコーチが人気を集める時代だと思います」
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