知ってるかい? 「イタリア料理」なんて、実は存在しないんだ!
イタリア生まれのフード&ライフスタイルライター、マッシさん。世界が急速に繋がって、広い視野が求められるこの時代に、日本人とはちょっと違う視点で日本と世界の食に関する文化や習慣、メニューなどについて考える企画です。
みなさん、イタリア料理は世界中で最も愛される人気の料理の一つだよね? パスタ、ピッツァ、リゾット、ティラミスなど、誰もが一度は口にしたことがあると思う。でも今回は読者のみなさんに少し意外な事実をお伝えするね。みなさんが知っている「イタリア料理」という概念は、実は存在しないということを! 驚きかもしれないけど、ここからイタリア料理の深い歴史と進化の物語が始まる。 まずはローマ時代まで遡らないといけないから、この長い物語に付き合ってくれるかな?
●ローマ時代からの食生活
ローマ時代の食生活はギリシャやエトルリアなどの影響を受けて、穀物、豆類、果物、野菜、オリーブ、オリーブオイルが基本だった。肉類は、豚肉や鶏肉が主流で、簡単な調理法が多かったんだ。2000年前のローマ人が食べていたものが現在も食べられていると考えると、不思議でたまらないよね?
●イタリア統一と各地域の食文化の交流
そして、1861年にイタリア王国が統一され、1948年にイタリア共和国が誕生。みなさんお気づきの通り、イタリアの国としての歴史は日本と比べると随分若いんだ。まるで生まれたての赤ちゃんだよ! イタリア王国が統一された時期、ようやく国内の各地域にあるレシピや伝統が交流し始めて、ほかの食文化の影響を受けながら発展して、「イタリア料理」として国全体で共有されるようになったんだ。そして20世紀になると、メディアの発達や食文化の普及によって、イタリア料理はみなさんが知っている、現在の形になったってわけだ。
●一つの国なのにさまざまな料理を楽しめる
イタリア・パルマ大学の「食の歴史」専門家であるアルベルト・グランディ教授によると、イタリアは統一の歴史が浅いことが現在の食文化にも反映されているという。 地域ごとのバリエーションは今も強く残っているし、各地域に独自の伝統料理、食材、調理方法が存在するから、一つの国なのにさまざまな料理を楽しめる。それが、現在のイタリア料理の魅力になっているとも言えるよね。 例えば、カルボナーラやティラミス、ピッツァなどの代表的なイタリア料理は、もともと各地域の郷土料理だったのを知っていた?