【アンジェリーナ・ジョリー】とミツバチの親密な関係
慈しみ育てることは人間の生来の能力
アンジェリーナは、彼女自身にインスパイアされたフレグランス「モン ゲラン」をゲランが発表したことを機に結んだパートナーシップを経て、世界各地で養蜂技術を学ぶ女性たちのゴッドマザーに就任。「フレグランスも自然界と密接な関係がありますし、エレガントで豊かな歴史を持つゲランのようなブランドがミツバチの保護に取り組むことに、私は詩情のようなものを感じます」と話す。 「このプログラムに私が惹かれた理由がいくつかあって、まずは女性のエンパワーメントだという側面。また今の世界で若者は無力感を抱くことが多いと思うんですが、そういう意味で、ミツバチの世話をして自然の中で過ごすというライフスタイルそのものが、人間の魂にとって有益だと感じるんです。それに、もしもミツバチが世界から消えてしまったら、そこに待ち受けているのは、ぞっとするような現実。たくさんの動植物が死に絶え、飢餓を引き起こし、大規模な人口移動で難民が増加……というように、すべてがつながっている。だからこそ、ミツバチの保護を自然界の営みの中心に位置づけるべきだと考えています」 そんな思いを抱いて、ゴッドマザーとして世界中の女性たちと交流し、時には訓練に立ち会い、サポートしてきたアンジェリーナ。さる2月には密かに来日し、東京と大阪でそれぞれ「銀座ミツバチプロジェクト」と「梅田ミツバチプロジェクト」の協力のもと、「WOMEN FOR BEES」卒業生たちと対面。大阪では、ミツバチについて学び保護意識を高めてもらうため、ゲランが小学生を対象に開催している、Bee Schoolにも参加した。 「これまでに私が参加したBee Schoolの中でも、日本の子どもたちには特に深い感銘を受けました。彼らは大切なことを学んでいるのだと認識していたのか、すごく熱心で。きっと日本の教育制度が充実しているからなのでしょう。日本の女性たちも皆さん有能で優しくて、素敵な時間を過ごすことができました。これまでに世界各地を訪れましたが、印象深かったのはやはり、女性たちがそれぞれの体験から得た知識を分かち合い、友人関係を結んでいくプロセスに立ち会えたことですね。シスターフッドが広がっていると実感します。それにミツバチの世話は一見ソフトな仕事のようで、実際は科学的で、かつハードワークでもある。そういう仕事に女性たちが携わり、生態系の保全の最前線に身を置いているということに興奮します。思えば、体内で子どもを育てる性である女性にとって、慈しみ育てることは生来の能力。機会を与えられれば、他者を支えることを単に自分に求められる役割として捉えるのではなく、積極的に楽しめるのではないでしょうか」