「息子は重度の知的障がいと自閉スペクトラム症」元Jリーガー・永里源気 タイへ単身赴任中に川崎病で「今日がやま場」と告げられて
いっぽう、妻は「大和がいることで、お姉ちゃんや妹に自分たちがやりたいことや行きたい場所を我慢させ続けるのは違うよね。ずっと家にいることが本当に大和のためになっているのかと言ったら違うよね。『使ってください』と行政が用意してくれているサービスを利用して、療育してくれるところで家族以外の人と関わるのも、大和にとって大事なことだと思う」と言っていて。鳥取で診てくれた先生も「大和くんはいろんな人と関わりを持って、いろんな刺激を与えたほうがいいですよ」と言ってくださったので、大和だけが自分の子どもじゃないんだし、みんなのためにも施設に通うことは必要かもしれないな、考え方を変えなきゃいけないなと思うようになりましたね。
■うんちを壁に塗ったり食べたりしたことも ── 柔和な笑顔が印象的な大和さんですが、ご本人の性格や苦労したことを聞かせてください。 永里さん:性格はめちゃくちゃ穏やかだと思います。鳥取の先生も「穏やかだね」と言ってくれていましたし、落ち着いているときはニコニコしています。ただ、寝つきが悪くてなかなか寝なかったり、寝たと思っても夜中1時や2時に目が覚めたり、朝までずっと起きていたり。産まれたばかりの次女の授乳もあって、妻は常に寝不足でした。自分でトイレができないので、うんちをしたときにオムツに手を突っ込んでうんちを壁にペタペタと塗ったり、食べたりもしていたんです。表情を変えないので気づかないこともあって、「あっ!くさい!もしかしてうんちした!?」みたいな感じで、急いで片づけたりオムツを替えたりしていました。
障がいの特性以外のところでも、体が弱かったので周期性嘔吐症になっていて。ちょっとでも熱が出たり風邪を引いたりすると、1日中、嘔吐が止まらなくなってしまうんです。食べるとまた吐いちゃうので、基本的には点滴をしてもらうしかないんですけど、病院に行ってもじっと座っていられないし…。病院にかかること自体が、すごく苦労しました。 ── 周期性嘔吐症は、いつごろまで続いたのでしょうか? 永里さん:お医者さんからは「小学校3~4年生ごろになったらたぶん治まると思うよ」と言われていて。体調を少し崩しても自分で回復できる体力がついてきたからなのか、本当にそのころに落ち着いてきましたね。大和は言葉が話せないので、苦しいときでも自分で「苦しい」と言えなくて。本当に治まってよかったと思います。