99%以上の遮光&UVカット率 真夏の炎天下を乗り切るために開発された東レの機能素材「SUMMER SHIELD® (サマーシールド)」
ーこれほどまでの機能を持つ「サマーシールド®︎」は、値段も高価になってしまうのでしょうか。 たしかに他の類似品と比べると、高い素材と言えます。当時、百貨店でも1万円を超える日傘は数点しかなく、高くても8,000円ほどでした。しかしながら、試験販売した「サマーシールド®︎」の傘は1万円を超えています。 それでも完売に至ったのは、素材の魅力や高機能性が、年々つらさを増す夏の季節へのお客様の需要とマッチしていたからだと考えています。 販売戦略として、百貨店の販売員さんに「サマーシールド®︎」の傘を日中に使ってもらいました。すると、これまでの日傘とはまったく違うものだと実感できます。店員さんの実体験をお客様に伝えることができるので、より魅力的な商品に映ったのだと思います。 アイディアからサンプルを作れたとしても、それを量産できる体制にもっていけるかは別の話です。量産し、質を担保するという点も、大きな課題でした。
あらゆるニーズに対応する開発
ー日傘以外では、どのような用途に使われていますか。 これまでの実績では、ベビーカーのホロやイベント用のテントに採用していただきました。また、カフェテラスのオーニング(庇)やパラソルにも使われています。 また衣料品では、株式会社空調服さんの「AIR GEAR」という商品には、フードとショルダー部に「サマーシールド®︎」が使われています。
ー現行の「サマーシールド®︎」について、さらなる改良が必要な部分はありますか。 やはり遮熱効果の向上ですね。UVカット率や遮光率は、表記の関係で99%、99.9%としていますが、こちらはほとんど改良の余地がないほど完成されたものになります。 そのため、遮熱機能を今後どこまで高められるかが、他社との差別化になると考えています。 ー素材の価格を抑える方向では、どのような取り組みを計画されていますか。 秘訣があるわけではなく、ここから手探りで見つけていくことになります。また、お客様のニーズに合わせた細分化を行っていく予定です。 言ってしまえば、「サマーシールド®︎」は、遮光も遮熱もUVカットもあるトッピングの全部のせといったイメージです。オールインワンを求められるお客様にはおすすめできるのですが、必ずしもそういった方ばかりではありません。 遮熱は必要ないから、UVカットを優先してほしい。遮光に焦点を当ててほしい。そういった声も我々の元に届いてますので、機能の一点突破型の素材を開発していっても面白いのではと考えています。そうなると、「サマーシールド®︎」とはまた違ったものになりますが、ここで培われた知見や技術は生かされるはずです。 我々としては、多くの人に東レの素材が届いてほしいと願っています。 「サマーシールド®︎」の傘も、大人だけでなく、小学生が通学する際にも使っていただき、子どもたちの命と健康を守るという点でアピールをするなど、工夫が必要だと感じています。そのため、販売ルートも傘屋さんや百貨店だけでなく、各省庁や自治体、教育関係の方にもアプローチしていく予定です。
酷暑の夏を乗り切るために