99%以上の遮光&UVカット率 真夏の炎天下を乗り切るために開発された東レの機能素材「SUMMER SHIELD® (サマーシールド)」
遮光率・UVカット率99%以上の秘密
ー「特殊3層ラミネート構造」の仕組みを教えてください。 この3層構造は、出来上がった生地の状態を指しています。 第1層はポリエステルで、通常の傘の生地に当たります。雨を弾き、日光をある程度遮断することができます。第2層は白色の酸化チタンが含有されている層です。ここでは赤外線を防ぎます。そして第3層は、カーボンブラックが含有された黒い層になります。ここで紫外線を防ぎ、また最後まで浸透してきた赤外線を吸収し、使用者を完全に守ります。
ー3層にしたことの弊害はあるのでしょうか。 ただでさえ厚い生地を使う日傘のため、そこに膜を貼ることでさらに重くなって扱いにくくなるのではないかという声は当初からありました。 傘メーカーさんと綿密な打ち合わせをし、「サマーシールド®︎」の性能を下げることなく、軽量化に向けて開発をしました。ラミネート加工が傘の内側に施されているため、多少の折りたたみにくさは感じるかもしれませんが、それ以上にメリットを感じてもらえると思います。
ーUVカット率99%、遮光率は99.9%の秘密を教えてください。 赤外線や紫外線をいかに効率よく跳ね返せるかが課題でした。鍵となるのは、酸化チタンとカーボンブラックの含有量です。 たとえば、酸化チタンを基剤に混ぜて薄い層を作る際、飽和点の問題が出てきます。飽和点とは、これ以上酸化チタンを足してしまうと、基剤に溶け込みきれず、外に出てきてしまう境界のことです。 最高の機能を持ちながら、いかにきれいな膜が作れるか。試行錯誤の連続でした。この割合の研究に、半年以上も費やしたと思います。 そのうえ、膜ができたとしても、今度はそれぞれの膜をくっつける技術が必要になり、製品化までは長い道のりでした。
ー試行錯誤の結果、マイナス4度もの体感が得られるまでに至ったのですね。 エアコンの温度が28度と24度では、体感がまったく違いますよね。4度というのは、それほどの効果が現れる温度になります。「サマーシールド®︎」と銘打って商品にするからには、この4度ほどの遮熱性能がなければ意味がないと考えています。 ちなみに、4度というのは実験の段階で得られた遮熱温度の最高値ではありません。最低でもこのラインということで、実際には6度から8度ほど変わるデータも得られています。