2025年の住宅ローン金利はどうなる? 利上げ見送りで変動金利は何%上がるのか?!
政策金利1%時代の変動金利はどこまで上がるか?
では、変動金利はどこまで上がることを想定すべきでしょうか?変動金利は日銀の政策金利に連動する建前となっています。 現在の政策金利は0.25%であり、日銀が想定している中立金利の水準は最低でも1%とされていますので、現在の政策金利の水準はかなり緩和的であるという見方は変わっていません。 つまり、0.25%の政策金利に対して、中立金利の1%まで、今後0.75%の上がり代があるわけです。 既存客の金利はプラス0.75% 現状の変動金利は0.4%~0.6%で分布しています。今、変動金利で住宅ローンを借りた場合、日銀が1%まで政策金利を上げた後の変動金利の水準はプラス0.75%で、1.15%~1.35%くらいになると見ています。 新規客の金利はプラス0.45% 一方で、利上げ後の新規客に対しては、前述のように、預金を集めたい民間銀行は変動金利の上昇を抑える傾向が続くと見ており、中立金利に達するまでが利上げ局面であると考えます。 2024年7月に政策金利を0%から0.25%に上げた際(ゼロ金利解除時)の新規客向けの利上げ幅と既存客向けの利上げ幅を比較したのが、表1です。 表1ゼロ金利解除時の銀行ごとの利上げ幅 既存客よりも新規客向けの利上げ幅を小さく抑えている銀行は、約0.1%の差をつけていますね。 新規客向けの変動金利の上げ幅が、利上げ一回ごとに0.1%小さく抑えられると仮定すれば、上げ幅は次のようなシナリオが考えられます。 既存客:0.25%×3回=0.75%上昇 新規客:0.15%×3回=0.45%上昇 そうすると、政策金利が1%になった時の金利は、表2のようになると予想できるわけですね。 表2 政策金利が1%になった時の銀行ごとの金利予想
2025年も新規向けの変動金利を上げない傾向が続くと予想
2024年の利上げ局面では、新たなユーザーを取り込みたい銀行は住宅ローンの基準金利を上げつつ、新規向けには引き下げ幅を拡大するという方法で、低金利競争が行われてきました。この傾向は2025年にも続くと見ています。 銀行は安定した預金を預けてくれる資産の多い顧客を囲い込むため、その入り口となる住宅ローンの獲得を重視しています。特に、富裕層やその予備軍となるような人をターゲットに、低金利の住宅ローンを展開するという傾向があります。 最近では貸金庫の盗難時事件が話題となりましたが、これもそうした富裕層囲い込みの一つですね。銀行とのつながりを強くすることで囲い込みを狙うものです。貸金庫については今回のことで内部統制リスクが顕在化しましたが、住宅ローンはこちらがお金を借りる側なので、不正によってお金を盗られるというリスクはありません。 変動金利は、日銀の利上げによって金利が上がることがリスクですが、中立金利を目指すフェースである2025年については、銀行の顧客囲い込み活動が活発化しているので、まだ変動金利を利上げ前の低金利水準で借りられる期間が続くと見ています。 前述のように、借りた後は既存客となり、その後の日銀の利上げに伴って適用金利が上昇することは想定しておきましょう。 しかし、自分よりも以前に変動金利で借りた人よりは、金利優遇幅が大きくなるため、将来の金利上昇後でもアドバンテージは守られる可能性が高いです。