「今までが安すぎた」「品薄ではないが足りない」『令和の米騒動』で注目されるコメの価格はなぜ下がらない 農家や卸売店を取材して見えた主食用米の生産減
2024年に起きた『令和の米騒動』。なぜコメが品薄になり、高騰した価格が下がらないのか。その実態を農家や卸売店を取材するとともに、データから紐解く。また、気になる今後のコメの価格はどうなるのか。 【画像】5年間の主食用と飼料用のコメの作付面積の推移
『令和の米騒動』なぜ価格は下がらない
熊本市中央区で街の人に話を聞くと「高くなったもの、お米?は感じましたね。品薄なのもそうですけど」や「30キロ単位で買ってるんですけど7000円だったのが、いまは1万円になっていて」と話す。 『令和の米騒動』とも言われたコメの品不足と値上がり。熊本県内でも影響が出ている。農林水産省が発表した熊本県産米の販売価格のデータ。2024年10月の60キロ当たりの取引価格はコシヒカリが23,857円。ヒノヒカリは24,890円とそれぞれ2023年の同じ月と比較して1.6倍から1・7倍に上がっている。 秋に新米が出て以降、品薄感はやや解消されたように見えるが、なぜ価格は高騰したままなのか。熊本市内で米の卸売りを手がける企業で現状を取材すると、複合的な要因が浮かんできた。
コロナ禍明けで増える需要と減る作付面積
藤木米穀の藤木健太専務は「(販売業者間で)原料の取り合いで。こういうふうになるのは初めてですね。(主食用米の)生産量が減ってるのが一番の原因だと思います。コロナが明けて飲食店も好調でインバウンド需要もあり需要が増えたのも大きいと思います」と話す。 また、藤木専務は「高齢で農家さんが(米作りを)やめられたケースと、主食用から飼料用の転作が進んでいたのと」と指摘する。 米の作付面積を示したデータでは、一般的に私たちが口にする主食用米は減る一方、国の政策で補助金が出る飼料用米の作付が年々増えている。コロナ後に米の需要が高まってきたこと、そこに作り手の減少が加わって価格高騰に拍車をかけているようだ。 藤木さんの店では、農協などの出荷業者を通さず、農家から直接米を買い付けて販売している。熊本県産米『森のくまさん』は取材した12月11日の時点で5キロ・3000円だった。藤木専務は「正直、5キロ・3000円くらいだったらまだみんな喜んでもらえるかなと思ってるんですけど、利益がないんで。そこも考えながら、今後価格をどうするか…」と話す。
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