阪神福留に制裁金でネット上は「引退」の声で炎上
福留の今季のここまでの成績は、43試合に出場、打率.154、1本塁打、12打点。そのうち28試合は代打出場だが、代打成績は19打数2安打で、代打率は.105しかない。92打席78打数のうち31三振を喫するなど、三振率も昨年の.244から.397に大幅にアップしている。 他球団のスコアラーに聞くと「ストレートについていけなくなっている。読みの鋭さが福留の怖さではあるが、これまでは狙って打てていたストレートがファウルになるなど、打ち損じが目立つ。もう43歳。さすがに衰えでしょう」という厳しい見方がある。 不振ではなく衰えという判断。福留はファームの試合に積極的に出場するなど、試合勘を落とさないための懸命の努力をしてきたが、ベテラン選手は試合に出なくなると「一気に老ける」と言われている。福留は、その典型だろう。 7月16日のヤクルト戦、19日の中日戦で、それぞれ4打点を稼ぎ、チームの勝利に貢献し存在感をアピールしたが、そこからV字回復とはいかなかった。たった2試合の勝利貢献では推定年俸1億3000万円と成績があまりに釣り合わない。 阪神というチームは、戦力外の判断については、現場の意見を重用する傾向にある。昨年、ドタバタ劇を演じてしまった鳥谷敬に引退を勧告した際にも矢野監督の意見を聞いた上で判断した。
矢野監督は、8月23日のヤクルト戦以来、福留をスタメン起用していない。後半戦の矢野監督の福留の起用法を見る限り“戦力外“である。年俸を大幅に下げて、来季代打の切り札として残すかどうかの選択肢は残っているのかもしれないが、今季の代打率.105では、それも厳しい。 戦力以外のプラスアルファ、たとえば、打撃コーチ兼任のような役割を持たせての現役続行は十分に考えられるが、これについては、今回の8人会食問題で制裁金を科せられ指導者候補としての資質にミソはつけた。 選手の去就はセンシティブな問題で、なかなか評論家諸氏も、本音は表明しにくいのだが、スポーツライターの駒沢悟氏の取材によると、巨人OBでヤクルト、西武で監督を務め、野球殿堂入りを果たしている広岡達朗氏は、「そもそも今季阪神が、福留、糸井を使っている理由がよくわからなかった。彼らに来年も頼るようでは、お先は真っ暗。いらないでしょう。しかも福留は最年長でチームを引っ張る立場にありながらチームが決めたルールを破った。これも問題。チームは、これから将来主軸になるような若い外野手を育てなければならない」と、一刀両断。おそらく、この意見が福留への評価だろう。 福留自身が身の処し方をどう考えているかが最重要だが、もし阪神が福留を戦力外と判断しているのであれば誤ってならないのが、今後の”手続き”である。昨年はチーム生え抜きの功労者の鳥谷に対して、なんの下交渉もせぬままストレートに引退を勧告して騒動に発展した。まずチームの功労者である福留にリスペクトを持って球団の方向性を伝え、福留自身の意思を確認する極秘の下交渉が必要になる。球団がどんな評価を下しているかはわからないが、もし戦力外と判断しているのであれば、引退という形の花道を用意するのがベストだろう。ただ福留が強く現役続行を主張した場合、昨年の鳥谷敬同様、戦力外、他球団移籍の道を模索することになる。もう一人のベテラン、糸井嘉男の去就も含めて、すでに消化試合に突入している阪神は、来季へ向けての戦力構想を固めていく時期に来ている。