<“ビジネスマン”トランプと外交でどう付き合うか>第二次政権10の見通しと日本が持つべき3つの視点
グローバルな大戦争は起きない?
いくつかの「切り口」が考えられるが、トランプの世界観に乗っかった上で議論をしなければ、先方の頭には入らないだろう。日本が経済・ビジネスの面で強力な味方であり、パートナーであること、サプライ・チェーンの問題を考えれば、経済・ビジネスと安全保障の問題を切り離すことは難しいこと、経済・ビジネスが重要だが、安全保障を害すれば、のちのち経済・ビジネスに響いてくるリスクがあること等である。 また、日本として、実際の行動のレベルにおいて、同盟の米国にとっての負担を減じ、利益を増進するための措置を積極的にとっていくことが肝要であろう。 上記の見方が正しければ、トランプの下で、グローバルな大戦争は考えにくい状況と思われる。大国間競争は継続し、ある面、激化するとしても、トランプは米国自身が当事者となる大国間の軍事紛争に至る事態は避けようとするであろう。 一方、そうなれば、安全保障論でいう「安定・不安定の逆説」が示唆するように、大国間で紛争が相互抑止されることによって、小国への武力行使が行われやすくなる環境が生まれることが懸念される。台湾有事は今まで以上に要注意であり、ロシアと連携しての北朝鮮の動きにもよく目配りしておく必要がある。
岡崎研究所