ロッチ・コカドケンタロウが魅了された、奥深すぎる「ミシン」と「生地」の世界
ー生地を買うときの基準はありますか。 「こんなん作りたい」と思ってそれに必要な生地を求めていくときと、「この生地が売ってるならあれ作ろう」という2パターンですかね。 たとえば、この花柄のバッグは最初から「こういう生地が欲しい」と思って、探しにいったものです。花柄って、どうしてもおばちゃんっぽくなってしまうから、「これだ」って思うものになかなか出会えなくて。 行きつけの下北沢のお店に行ってみたら、ちょうどこの花柄の生地が売ってたんです。派手さの中に落ち着いた感じがあって、「これが本当に求めていた花柄だ」ってうれしくなりましたね。
探すのが難しかったのはサーフパンツの生地かな。水着の生地ってどうしたらいいのかまったくわからなくて、自分の持ってるものをチェックしたら、「ナイロンタッサー、ワッシャー」って書いてあって、なにがなんだかわからなかったですね。 それでもひとまず生地屋さんに行ってみて、ナイロンとかポリエステルなどを手に取って、少しずつ知識を身に付けながら前に進んでいってる感じです。
ー作るアイテムによって、素材を変えたりしますか。 生地だけ先に買うことも多いので、あとでじっくり何にするか考えますね。あとは、その時々に個人的なブームがあって、素材にこだわることもあります。 前はウールが好きでウールでいろいろ作ってましたけど、今は麻かな。「この生地であれを作ったらどうなんだろう」とか考えてます。学校で生地について学んだわけじゃないので、いろいろと手を出してみたくなるんでしょうね。 僕はメイド・イン・USAの生地が好きで、よくチェックするんですけど、一期一会みたいなところがあります。「いいな」って思ってもそのときにしか売ってないことが多いかも。
ーこれまで作られたもので、「この素材を扱うのは大変だった」というものはありますか。 一番大変だったのは、iPadを入れているケースですね。精密機械だから、中にふわふわなクッション的なものを入れなあかんなと思って。 なにを思ったか、豆腐が入っていた外側がアルミの保存袋があったので、これをコットンと一緒に縫おうとしたら、もうツルツル滑って全然うまいこといかへんくて大失敗したんですよ。 始めて1ヶ月くらいの頃だから縫製もめちゃめちゃやったんですけど、破れたところを補強しながら使ってきて、今の形になっています。でもiPadが入れられれば、失敗も失敗じゃないんやって思い始めて、気が楽になりましたね。