あなたが払っている保険、本当に必要?リスクマネジメントの基本から学ぶ、必要な保険と不要な保険の見分け方
保険は、万が一の際に私たちの生活を守る重要な手段です。しかし、全てのリスクに保険で備える必要はありません。特に「高損害・低頻度」のリスクに対して保険は効果的で、それ以外のリスクには別の方法で対応するほうが合理的な場合もあります。 本記事では「リスクマネジメントの4区分」に基づいた「必要な保険と不要な保険」について、要約していきます。 ▼定年退職時に、「1000万円」以上の貯蓄がある割合は日本でどれくらい?
「純粋リスク」と「投機的リスク」
リスクは、「純粋リスク」と「投機的リスク」に分けられます。保険は主に、「純粋リスク」をカバーすることを目的としています。 純粋リスクとは、自然災害や火災など損失のみを伴うリスクで、利益をもたらす可能性のないリスクです。一方、株価変動・為替変動などの投機的リスクは、利益も損失もあり得るものであり、保険の対象にはなりにくいとされています。保険とは、純粋リスクに関して多数のデータを収集することで発生の確率を求め、広く保険料を収集することにより、リスクのもたらす損失を経済的に担保しようとするものです。
リスクマネジメントのプロセス
リスクマネジメントとは、単に保険に加入して損失をカバーするだけでなく、リスクの発見・評価・処理といったプロセス全てのことを指します。 火災というリスクに関し、リスクマネジメントを説明すると、次のようになります。 例えば、ここでいう「リスクの発見」とは、自宅の火災や隣家への類焼の可能性を認識することです。 次に、そのリスクの発生頻度や損害規模を評価し、消火器やガス漏れ検知器の設置など、リスクを最小化するための対策を講じるのが「リスクコントロール」と呼ばれます。そして、保険に加入して火災発生時の経済的損失をカバーすることが「リスクファイナンシング」となります。
リスクの分類と対策-リスクマネジメントの4区分
リスクは発生頻度と損失規模の組み合わせによって4通りに分類され、それぞれに適切な対策が異なります(図表1参照)。 図表1
筆者作成 例えば、低頻度かつ低損害のリスクは自己負担が推奨されますが、低頻度かつ高損害のリスクは保険でカバーするのが適切です。また、頻繁に発生するものの損害が小さいリスクは削減する努力が必要であり、高頻度かつ高損害のリスクは回避することが最善とされます。