最近「地面師たち」というドラマを観ているのですが、実際にある“詐欺”なのですか? 騙されてもお金は戻ってこないのでしょうか…?
現在、動画配信サイトで人気となっているドラマ、『地面師たち』。配信で「地面師」という言葉を初めて耳にした人も多いのではないでしょうか。 本記事では、「地面師詐欺」とはどのような詐欺なのか解説し、実際に多額の金銭を騙し取られた事件ついても紹介します。 ▼定年退職時に、「1000万円」以上の貯蓄がある割合は日本でどれくらい?
地面師とは? その手口を解説
「地面師詐欺」とは、日本の不動産詐欺の一種です。グループで土地や建物の所有者になりすまし、不動産を他人に売却して多額のお金を騙し取る詐欺で、古くから存在する手法です。その手法はとても巧妙で、被害者は詐欺に気づくのが難しいといわれています。 具体的には、土地や建物など不動産の所有者になりすました偽の所有者が、偽造の身分証明書や登記書類で通常の不動産取引に見せかけます。空き家や空き地など、所有者が滅多に現れない不動産を入念に選んで、偽の不動産売買を行うようです。例えば、高齢の地主の子や孫を装い、地主の土地を売却し、金銭を得るなどの例があります。 不動産バブルで土地取引が活発化した昭和から平成初期にかけて特に多く発生していました。地面師は、高額な土地を所有者になりすまして売却し、数億円など巨額の利益を得ていました。 偽の不動産売買を行うために、地面師は不動産業者や金融機関までも騙したり、登記簿を改ざんしたりします。これらの偽造を見抜くことは、その道のプロである司法書士でも難しいといわれています。また、仲介業者が地面師の一味であるケースでは、買主以外のほとんどの登場人物が地面師グループのため、被害者はより信じやすい状況に置かれます。 売主が地面師だったと気づくのは、代金を支払い、地面師がすでに行方をくらました後です。一般的に不動産取引の際は、買主による売買代金の振り込み後、売主が買主に「権利証」と「印鑑証明書」を預けます。 その後、買主側が法務局で登記申請を行った際に、書類偽造のため申請が却下され詐欺に気づくケースが多いようです。代金の支払いから登記が却下されるまでのタイムラグは、地面師グループが逃げる時間を与えてしまいます。 このため、地面師詐欺に騙し取られた金銭が戻ってくるケースは少ないようです。