最近「地面師たち」というドラマを観ているのですが、実際にある“詐欺”なのですか? 騙されてもお金は戻ってこないのでしょうか…?
実際にあった大胆な詐欺
地面師による巨額の詐欺では、積水ハウス事件が有名です。2017年6月1日に発生しており、比較的最近行われた詐欺といえるでしょう。積水ハウスは地面師グループに騙され、約55億5900万円を損失しました。 この事件では、地面師グループが廃業旅館の建つ土地の売却を積水ハウスに持ちかけ、分譲マンション用地として購入を決めた積水ハウス側が売買契約を結び、代金を支払いました。しかし、その後法務局への登記申請が却下されたことで、事件が発覚。大企業で何重もの幹部決裁を通していても、気づかない巧妙さがありました。 この事件の際も、売主の身分証として多くの書類が提出されていました。 ●パスポート ●国民健康保険被保険者証 ●住民票 ●改正原戸籍謄本 ●戸籍謄本 ●印鑑登録証明書 ●納税証明書 事件後、ある報道機関では近隣住民への聞き込みで、偽造されたパスポートの顔写真の人物が地主とは別の人物であるとの証言を得たそうです。大きな金額が動く取引とあって、積水ハウス側も売買契約前に自主調査するなど、事前に詐欺に気づけた点もあったのではといわれています。
まとめ
地面師詐欺とは、偽の不動産所有者になりすまし、不動産取引によって多額の金銭を騙し取る詐欺です。日本に古くからある詐欺ですが、登記簿や戸籍などの個人情報がコンピューターで管理されるようになり、さらに巧妙化しています。 先の事件ほど多額の詐欺ではなくとも、地面師による被害は起きています。地面師詐欺に限らず、疑わしいときは一度立ち止まって、家族や専門家に相談し、1人で抱え込まないようにしましょう。 出典 積水ハウス 分譲マンション用地の取引事故に関する総括検証報告書の受領及び公表について 執筆者:古澤綾 FP2級
ファイナンシャルフィールド編集部