<東日本大震災4年> 報道されない「マイナー被災地」のいま
存続の危機:三陸沿岸の集落
宮城県女川町も震災で関心を集める「ブランド被災地」と言えるでしょう。しかし、そんな女川の中にも「マイナー被災地」は存在しています。 女川の市街地から沿岸を車で15分ほど走ると、御前浜という集落に到着します。震災前には160人の住人がいましたが、津波の犠牲にならなかった家屋・建物はたった2軒だけ(津波による犠牲は13人)。復興計画が進んでも、この集落に戻って住むという意思を示しているのは、今いる3世帯を含めて14世帯のみです。漁業を営んでいる人たちを中心に、コンパクトシティとして生まれ変わる市街地ではなく、この小さな集落に残るのだそうです。 リアス式海岸が続く宮城県・岩手県の三陸地方には、震災前にこの御前浜と同じように小さな集落が数え切れないほど点在していました。そうした小さな集落は、いま存続の危機を迎えています。1次産業の担い手が減少していることに加えて、震災の被害が大きな影を落としているのです。
被災地から離れたところから震災の情報を受けていると、どうしても先行する中心地の復興やブランド被災地の現状ばかりが目につきます。その裏にある、様々な厳しい課題を抱えるマイナー被災地の現状が覆い隠されてしまっているのは、開沼博さんの指摘通りです。 3月12日は、東日本大震災の翌日、長野県栄村が震度6強という長野県北部地震に襲われた日です。3人が犠牲になり、約200戸の家屋が全半壊。現在、すでに仮設住宅などの避難者はいませんが、自宅再建が適わなかった村民など53人が、災害村営住宅で暮らしています。 被災地以外で情報を受ける私たちが、まだまだ厳しい状況にある被災地を見守るように関心を持ち続ける事が震災を風化させないために大切です。 (渡部真/フリーランス編集者)