パリ在住70歳の「幸せな食事」。朝食はシンプル、食器にこだわり目でも楽しむ
パリに暮らすマダムたちは「いつも自分軸で考える」「日々の小さなできごとを愛おしむ」など、自分たちの暮らしの範囲で楽しむことに長けています。ここでは、パリ生活で培った自分流の賢い暮らし方を実践している日本人女性のひとり、デザイナー・角田雪子さん(70歳)の、自然を愛する食生活について紹介します。 【写真】70歳、こだわりの食器でティータイムも楽しく
オーガニックフードをアンティークの食器で味わう
パリから電車で1時間、さらに駅から車で30分ほどのラ・フェルテ・ゴーシェというのどかな街で暮らす、デザイナーの角田雪子さん。2022年のセミリタイア後は、パリの11区にあるアトリエとこちらとの2拠点暮らしですが、ほとんどの日を広大な林に面した美しいこの別荘で過ごしているそうです。 ここでは、アンティークの家具に始まり、部屋に飾られたオブジェも、食事で使用する食器やカトラリーも、ほとんどすべてがアンティークです。 「この家から車で30分くらいの街で毎週土曜の午後にブロカント(古物市)をやっているので、そこでいろいろ見つけています。年齢を重ねてきて、歴史のある古い物が愛おしいと思うようになりました。丁寧につくられた美しい装飾の家具や、植物が麗しい曲線美を描くアールヌーヴォー様式の皿など、すばらしい“時代遺産巡り”ができるブロカントに行くと、美術館を訪れているような気分に浸れます」 朝食は、レトロなホテルのブレックファスト風に。午後にはお茶ごっこをして楽しんでいるという角田さん。庭から摘んだフランボワーズ(ラズベリー)でジャムをつくり、アップルタルトは薄切りにしたリンゴをバラの花のように配置。テーブルには野の花を飾ります。森から摘んできたイラクサでつくる西洋薬膳スープも定番メニューのひとつです。
リタイア後に増えた、自然環境について考える時間
とても料理熱心な角田さんですが、デザイナーとして仕事に励んでいた頃はほとんど料理をしたことがなかったのだといいます。 「働いていたときは料理をつくる時間がなかったし、苦手でした。でも、セミリタイア後は時間は十分にあるので、YouTubeなどを見ていろんなレシピや新しい調理の仕方を試してみたら、けっこうおもしろい。もともとクリエーションすることが好きだから服づくりをしていましたが、それをやめたら、クリエートすることがなくなってしまって…。でも、料理もクリエートのひとつだということに気づいたんです。 毎日の食生活を整えることは、幸せな人生を送る大切な要素でもある。だから、料理が単調にならないように、週に2~3種類の新作を加えてメニューの広がりを楽しんでいます。それに、自分でつくればなにが入っているのかがわかるので、健康面でも安心ですしね」 食に関しては、もうひとつ心がけていることがあるそう。インダストリアル体制における畜産業の動物たちへの処理の仕方が、動物に大きな苦痛を与えていると知って以来、肉を食べることをやめています。 「末期的な環境問題についても考えると、野菜などの食材はオーガニックのものを選ぶようになりましたし、なるべく簡易包装の商品を選んで購入しています。料理をした残りの野菜くずはコンポストで肥料にして植物に与えています。また、ミントとシトロネル(レモングラス)のアロマオイルを使って蚊よけスプレーをつくったり、ほかにもエッセンシャルオイルを用いてアロエの化粧水やバラの香水をつくったりもしています。この家でゆったりと暮らしているうちに、自然環境について深く考えるようになりました」
ESSEonline編集部