KDDIなど、自律飛行型ドローンでダムの臨時点検を効率化–スターリンクを活用
KDDIとKDDIスマートドローンは、葛野川ダム(山梨県大月市)で衛星ブロードバンドサービス「Starlink」でauエリアを構築する「Satellite Mobile Link」を活用して自律飛行型ドローンで地震発生後を想定した臨時点検実証を11月14日に実施した。11月15日に発表した。 人に代わって自律飛行型ドローンがダムから半径約2km圏内でダムに異常がないか点検飛行し、遠隔地からでもリアルタイムに把握できることを確認した。地震が起きたときに一次点検業務を効率化することで作業員を守れるようになるという。 葛野川ダム(東京電力リニューアブルパワーが運営)で地震した場合の一次点検では、作業員が現場に出向く必要がある。管轄事務所からダムへの移動経路は、道路の陥没や落石などから安全状況が不明であり、人命に関わるリスクが非常に高い。一定時間内にすべての点検箇所を目視で確認して報告するなど有事においてダムの健全性を迅速に把握することは困難となっていた。 ドローンなどの活用が期待されていたが、ダムの外部から通信回線を新たに引き込むことは難しいなどの課題があり、通信環境の改善がなかなか進んでいなかったという。 Satellite Mobile Linkは、Starlinkをバックホール回線としてau通信エリアを構築する。通信不感地の現場に設置することで携帯電話での通話やデータ通信が利用できるようになり、現場の作業員への遠隔支援や緊急時の連絡など情報伝達の効率や即時性が向上できると説明。通信環境の整備でドローンやロボットを活用した遠隔でのインフラ点検やメンテナンスなども実現できるという。 今回の実証では、葛野川ダムの水門上部にStarlinkと4G LTEアンテナを一体にした架台型のSatellite Mobile Linkを設置。最小限の設備でダムの堤体から調整池の上流部半径約2kmの範囲で通信環境を構築して、緊急通報を含めた通話やデータ通信が可能になった。 Satellite Mobile Linkの4G LTEを活用することで自律飛行型ドローンがダム堤体から半径約2km圏内の状況を遠隔かつ自動で確認できたという。ダムの点検業務の省人化や効率化が進むとともに、現場に向かう道路の陥没や落石などのリスクを低減することも可能になる。 実証で使ったドローンは自動充電ポートが付いた「G6.0 & NEST」とAI(人工知能)を搭載した自律飛行型の「Skydio X10」。G6.0 & NESTは飛行から充電までをすべて自動化。4G LTEの通信回線でインターネットに接続することで遠隔地から現地の映像をリアルタイムに確認できるほか、ドローンで撮影された映像や写真をクラウドに格納することでドローンを操作することなくデータを取得できる。
UchuBizスタッフ