イーロン・マスクも見放す…?トランプは「2018年と2023年の習近平」と同じ道を辿る
習近平主席の「老い」と、強運が尽きるとき
私が初めてそう思い出したのは、今年3月の全国人民代表大会(3月5日~11日)が終わった後だった。この辺りから、習主席は経済回復優先の政策を認めるようになった。同時に少しずつ、政策が「大雑把」になっていった。 2度目の「変化」を感じたのは、約20日間もの「夏休み」を取った後、8月19日に北京でベトナムの蘇林(トー・ラム)国家主席(当時)・書記長と首脳会談を行って、表舞台に復帰して以降だ。CCTV(中国中央広播電視総台)の映像を見ていると、すいぶんと挙措振る舞いが「穏やか」になったように映る。 同時に政策も、一段と経済回復優先を認めるようになっていった。対日外交で言えば、11月22日に突然、「日本人の30日間のノービザ訪問を認める」と発表したのも、そうした流れの延長線上にある。 総じて言えば、トランプ大統領にしても習近平主席にしても、最終的にいつまで「強権政治」を続けていられるかは、「運」次第だと思う。中国には、「小事は智によって成し、大事は徳によって成すが、最大事は運によって成す」という言い方もある。 いまのところ両雄とも、この地球上で稀に見る「強運の持ち主」であり続けている。トランプは計91件もの罪で起訴され、うち34件で有罪評決を受け、大統領として2回弾劾されても、次期大統領に当選してしまった。習近平も過去に何度もピンチに陥ったが、そのたびに「強運」によって突破してきた。 「強運」がいつ尽き果てるかは、誰にも予測できない。ジャーナリストとしてできることは、次の一句を常に銘心しておくことだけだ。「桐一葉落ちて天下の秋を知る」。
近藤 大介(『現代ビジネス』編集次長)