新型コロナウイルスは「第3の破局」を招くか 「神の領域」に立ち向かう「人間の本質」
破局を回避する努力こそ人間の本質
このような「都市化の過剰・破局」と生物の「個体群密度の調節」を、19世紀以来の人口爆発の必然的結果と考えれば、人類には悲観的な運命が予定されていることになり、ある種のニヒリズム(虚無主義)に陥るかもしれない。 しかし破局は回避できないわけではない。少なくとも悲劇的な部分を小さくすることはできる。少し難しくなるが、生物の個体群密度には、フェルフルストのロジスティック方程式が当てはまるとされている。時間(横軸)と個体群密度(縦軸)の変化図のカーブが、急増のあと、次第に横に寝てくる、すなわちS字に近づくという理論である。長期的なグラフでは人口はまだ爆発的増加の中にあるが、短期的なグラフではその増加率が鈍りはじめているのだ。今日、多くの先進国で少子化による人口減少が起きているのもその現れと見ることができる。 つまりわれわれは、悲劇的な破局を回避しながら、生態系の自然な調節力を発揮させて、人口の安定を図ることができるのではないか。戦争も、疫病も、完全になくすことは難しいが、できるだけ抑え込むことは可能なのだ。 新型コロナウイルスとの闘いには勝たなければならない。「都市化の破局」と「個体群密度の調節」という現象そのものは「神の領域」であっても、それに対処する努力こそは「人間の本質」である。人類の「本当の知恵」が試されている。 新緑が溌剌と風に揺れて、われわれを励ましてくれているようだ。