「風が吹いただけで痛い」といわれる痛風の本当の「害」は、じつはその“痛み”にあるのではなかった!
腎臓は、細胞が出したゴミのほかに、腸内細菌が作り出した毒素や、糖尿病の治療に使われる血糖値を下げるインスリン製剤などの成分も処理しています。 これらのゴミや毒素、薬の成分が増え過ぎると、腎臓の処理が追いつかず、血液の中にたまっていきます。こうして引き起こされるのが、「尿毒症」です。全身がむくんで、皮膚が黒ずみ、骨はもろくなって、目が見えにくくなり、思考力が低下します。このように腎臓が処理しきれなくなった毒素が体中を回って、全身の機能が落ちてしまうのです。
※外部配信先ではイラストを全部閲覧できない場合があります。その際は東洋経済オンライン内でお読みください ■腎臓が弱ってしまうとほかの臓器も共倒れに 「もし、腎臓を何かにたとえるとしたら、何にたとえますか?」と聞かれたとします。私だったら、舞台監督と答えるでしょう。 観客が舞台で目にするのは、演技をしている俳優ですが、俳優がよい演技をできるように全体を把握してサポートし、舞台を管理・運営しているのは監督です。同じように腎臓も、臓器の働きを下支えしている必要不可欠な存在なのです。
舞台は、監督や俳優だけでなく、美術・照明・衣装の担当など、さまざまなスタッフがチームを組み、一致団結して作り上げていくものです。それは私たちの体も同じです。腎臓は血液をろ過するだけ、心臓は血液を送り出すだけと、それぞれが切り離されているのではなく、互いにメッセージを出し合って、連携して働いているのです。これが「臓器間ネットワーク(臓器連関)」です。 臓器間ネットワークで有名なのは、脳と腸との「脳腸連関」です。テレビ番組などでも特集が組まれていたので、多くの人がすでに耳にしたことがあるのではないでしょうか。腸は、多くの神経細胞が存在することから「第二の脳」といわれていて、腸の不調は脳に、脳に受けたストレスは腸に反映されるのです。
医療の現場では、腎臓と心臓の関係性である「心腎連関」が、早くから注目を集めていました。腎臓の機能が低下した患者さんでは心不全の治療がうまくいかなかったり、慢性心不全の患者さんに慢性腎臓病が併発したりするケースが多かったからです。腎臓と心臓のどちらかが悪くなれば、それにともなってもう一方も悪くなる関係にあるのです。 その臓器間ネットワークの中心といえるのが、腎臓です。腎臓は、全身を巡る血液のゴミを取り除いたり、体液のバランスを保ったりしていて、心臓はもちろん、脳や腸など多くの器官・臓器と関係性をもっているからです。