重症化すると足の切断も!? 本当は怖い足の血流低下について専門医が解説
足が冷たい、歩くと足が痛むといった症状には「末梢動脈疾患」という病気が隠れている場合があります。放置し続け病状が進行すると、最悪の場合、足の切断につながる可能性もあると専門医は言います。「末梢動脈疾患」はどのような病気なのでしょうか。セルフチェックや治療法なども含めて、TOWN訪問診療所城南院院長の宇都宮誠先生に詳しく解説して頂きました。 [この記事は、Medical DOC医療アドバイザーにより医療情報の信憑性について確認後に公開しております]
末梢動脈疾患とは?
編集部: はじめに「末梢動脈疾患」という病気について教えてください。 宇都宮先生: 脳梗塞・心筋梗塞と同様に、動脈硬化によって血管に詰まりが生じて起こる病気です。全身に起こりますが、特に足の動脈で発病することが多いですね。 編集部: 最初にどのような症状が表れるのでしょうか? 宇都宮先生: 初期にはあまり症状は出ず、足がなんとなく冷たいと感じる程度です。 編集部: 進行していくと、足の状態や症状はどのようになりますか? 宇都宮先生: 「歩くと足が痛い」「休むと治まる」という症状が表れます。一定の距離を歩くと症状が出現してくるので、休みながら自分のペースで歩くことは可能ですが、誰かと一緒に出かけることが難しくなります。痛みが出ることで自ら歩くことを制限すると症状は感じなくなります。ご高齢の方の場合は、あまり症状を訴えずに、徐々に足腰が弱くなってしまうこともあります。足の血流が乏しい状況でなにかしらの傷ができてしまうと傷はなかなか治らず、徐々に拡大し、時に潰瘍・壊疽の状態まで悪化することがあります。適切な治療ができなければ足を切断せざるを得ない場合もあります。
こんな方は要注意!? リスクと治療法について学ぶ
編集部: 末梢動脈疾患なのかチェックする方法はありますか? 宇都宮先生: もっとも簡単な方法は「足の脈を触ること」です。正常であれば、手首で脈が触れるのと同様に、足の甲の中央からやや内側で脈に触れることができます。左右ともに同じ強さで脈に触れることができれば、末梢動脈疾患である可能性はほぼ否定できます。一方で、足が冷たく、脈拍に左右差がある、もしくは両足とも触れない場合には末梢動脈疾患を疑います。 編集部: 末梢動脈疾患になりやすい人にはどのような特徴がありますか? 宇都宮先生: 末梢動脈疾患の原因の多くは動脈硬化によるので、心筋梗塞や脳梗塞といった病気と同様です。糖尿病や高血圧、脂質異常症など生活習慣病がある方は要注意です。最も危険なのは喫煙です。喫煙歴のある方は動脈硬化が起こっている可能性が高く、脳梗塞や心筋梗塞を過去に起こしたことがある方もハイリスクで注意が必要です。 編集部: 末梢動脈疾患の予防や進行を抑える方法はありますか? 病院に行くタイミングについても教えてください。 宇都宮先生: 最も重要なことは禁煙です。また、生活習慣の改善と糖尿病などの病気があればしっかりとコントロールすることも重要です。足が冷たい、歩くと足が痛い、なかなか治らない傷があるなど末梢動脈疾患を疑う症状がある場合には専門の医師に相談するようにしましょう。また、明らかな症状が無くても、「足がなんとなく冷たく、脈が触れない」という時には検査のために一度受診されることをお勧めします。足の血流低下をきっかけに全身の動脈硬化が明らかになることも多くあります。