不動産の「相続登記」と「名義変更」の違いは?…相続で名義変更を怠った場合の主な“3つのリスク”【弁護士が解説】
大切な家族を見送った後には、多くの手続きが待っています。特に、不動産に関する手続きは複雑で、法的な手続きを進めるには登記や名義変更の流れを理解することが重要です。この記事では、弁護士である中澤泉氏が、不動産の相続にまつわる基本的な知識や名義変更の方法、注意点などについて解説します。 都道府県「遺産相続事件率」ランキング…10万世帯当たり事件件数<司法統計年報家事事件編(令和3年度)>
相続登記と名義変更の違い
相続登記と名義変更は一見似ている手続きですが、目的や状況により異なります。両者について簡単に説明します。 相続について 相続は、亡くなった人の財産や権利を遺族が引き継ぐことを指します。法的には、財産は死亡時点で法定相続人に自動的に移転しますが、その後、相続手続きを経て正式に管理・処分できるようになります。 相続手続きには、相続人の確定、相続財産の名義変更(登記)、相続税の申告などが含まれます。相続自体は自動で発生しますが、財産を管理・処分するにはこれらの手続きが不可欠です。 相続登記とは 相続登記は、被相続人が所有していた不動産の名義を相続人に変更する手続きです。不動産は法務局で管理されており、相続が発生すると相続人は相続登記を申請し、所有権を移転します。これにより、不動産を管理・運用することができます。 相続不動産の「名義変更」 相続不動産の名義変更は、被相続人の不動産権利を相続人に移転する手続きであり、「相続登記」と呼ばれます。2024年4月1日から、相続登記は義務化され、相続人は相続を知った日から3年以内に登記を申請しなければなりません。これを怠ると、最大で10万円の過料が科されるため、早期の対応が求められます。 相続登記と名義変更の違い 相続登記は、相続によって不動産の所有権が法定相続人や遺言に従い移転するための手続きです。これに対し、名義変更は相続に限らず、売買や贈与などで所有者が変わる場合にも行われます。名義変更は、相続のほかにも、不動産取引における所有権移転に関わる手続きです。