「安くて当然」を覆す! 「豆腐バー」「うにのようなとうふ」なぜヒット? “豆腐革命”の正体に迫る
ユニークな豆腐専門店
JO(東京都品川区)という外食企業が経営する、豆腐専門店「豆富食堂」とおからパン「豆富パン」もユニークだ。 同社は2011年、東京・五反田に日本酒専門店「酒場それがし」をオープンして以来、主に居酒屋を都内の五反田や恵比寿、目黒に出店。現在は10店を展開している。 豆富食堂は2021年11月、恵比寿にオープン。コロナ禍で居酒屋の営業を自粛せざるを得ない状況下、豆腐という日本人の日常に欠かせない商材を扱って売り上げの安定化をはかり、外食のみならずテークアウトのニーズも拾える業態として考案された。店内に工房を持ち、宮城県産大豆「ミヤギシロメ」を使って、職人が毎日、大豆から豆腐をつくるクラフト豆腐の専門店として異彩を放っている。 ランチには、豆腐料理7品で構成する「豆腐御膳」(1540円)、「豆腐屋の麻婆豆腐御膳」(1980円)などの定食を提供。 夜は豆腐料理居酒屋となり、「豆腐と鶏のすき焼き」(3080円)、「湯葉春巻き」(1100円)、「揚げたてがんも」(880円)などを提供。締めには干し豆腐を麺に使った「豆腐白湯麺」(1430円)、甘味に豆花(770円~)など。お酒はナチュラルワイン、日本酒、焼酎など各種そろえる。 また、豆富パンはその姉妹店として2023年4月、五反田に開店したベーカリー。豆富食堂でつくられる、豆腐、豆乳、おからを使用したパンを販売している。 豆腐製造を行う工程で、豆乳の搾りかすである「おから」が大量に排出される。おからは大量の水分を含むことによる劣化の速さから、食用利用率はわずか1%程度と言われる。豊富な栄養素、食物繊維を含むスーパーフード、おからの魅力を伝えるべく開発された店だ。 牛乳の代わりに豆乳を使用、小麦粉におからを混ぜてグルテンを抑えるなど、体に優しいパンを目指している。パンは毎日、職人が店内で生地をつくり焼き上げる。 また、豆富食堂が製造する豆腐や三角揚げも販売している。 主な商品は、「食パン」(500円)、「豆腐カレーパン」(320円)、「味噌パン」(270円)、「あんバター」(300円)など。 豆腐を大豆からつくり、廃棄物のおからも有効利用。SDGsを実践するビジネスモデルだ。 その他にも、サンマルクホールディングスが経営する、「鎌倉パスタ」の新業態、和風パスタと和スイーツの店「おだしもん」では、店内で製造するクラフト豆腐の食べ放題のサービスを行っている。 同社のサンマルクや鎌倉パスタでは、焼き立てパン食べ放題が売りになっている。おだしもんでは、よりヘルシーにでき立て豆腐が食べ放題になった。 以上、これまで栄養価が高い食品であるにもかかわらず、メーカーが利益を出すのも厳しくなるほど価格が抑えられてきた豆腐は、先進的な企業による異次元の商品開発、業態開発によって、適正な利益が取れる魅力的なビジネスに進化している。 豆腐産業のルネサンスはまだ、始まったばかりだ。 (長浜淳之介)
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