続く「腸内環境改善」大ブーム!100年前から大人気のヨーグルトが日本人の定番の健康食になるまで
この冬はインフルエンザや新型コロナウイルスが猛威を振るい、私たちの生活を脅かすような事態に陥った。そんな中、毎年この時期になると「インフルエンザ予防に」「体調管理のために」という趣旨のCMが流れる。その商品はもちろんヨーグルト。 もはや冬の定番となった感があるが、日本人のヨーグルト好きはいつごろから始まったのだろうか。『熱狂と欲望のヘルシーフード』(ウェッジ)ではトクホや機能性表示食品の流行と定着としてその経緯を丁寧に追っている。今回は書籍の一部を抜粋して掲載する。 21世紀になって、健康づくりに重要視されるようになったのが「腸内環境」である。善玉菌を増やし悪玉菌を減らして「腸内フローラ」のバランスを改善する生きた微生物「プロバイオティクス」が、おなかの具合と便通をよくするだけでなく、発がんリスクを軽減したり、免疫機能を高めて感染症を予防したり、高コレステロールや高血圧、高血糖を予防・改善したり、アレルギーを抑制したりと、多様な働きをすることが一般にも知られるようになった。
腸内環境改善ブームで大人気のヨーグルト
人の腸内には500~1000種類、1000兆個の細菌叢が生態系を形成している。それを多様な花が咲く花畑にたとえたのが、腸内フローラという美しい名前。腸は脳に次いで神経細胞の数が多く、腸と脳は緊密に連携していて脳の働きや感情、認知能力にも影響を与えることも分かり、いまでは腸は「第2の脳」と呼ばれている。 プロバイオティクスの代表が、ビフィズス菌と乳酸菌。そこから一歩進んで、菌株が大切なことも分かってきた。栄養バランスのよい食生活、適度な運動と十分な休養でプロバイオティクスは自然に増えていくが、現代人にとって規則正しい生活は存外難しい。
また、加齢によってビフィズス菌は減少し、悪玉菌の代表である大腸菌、ウェルシュ菌が増える。若くても高脂肪食品の食べすぎや喫煙など、生活習慣の乱れで腸内環境は悪化することから、「腸年齢」「腸能力」という絶妙な呼び名も生まれた。コロナ禍で腸内環境への関心がさらに高まり、「自分の腸年齢を意識し、腸食で腸能力を高める腸活で腸内フローラを改善」するのが、いまのトレンドになっている。 イモ類や根菜、キノコ、海藻、こんにゃく、穀類など食物繊維が豊富な食材と、味噌、納豆、漬物など発酵食品をたくさん食べる昔ながらの和食は、善玉菌にとって絶好の餌になったが、洋風化で肉食の比重が増えた現代の食生活では、どうしても不足しがち。そこで市販の食品で摂りましょうと、各種さまざまな製品が登場してきた。 そのなかでも、ブームを何度か繰り返してきたヨーグルトに、「バブル」と呼ばれる戦後最大の爆発的ブームが到来し、現在も進行中だ。