帝国ホテルがコロナ禍で見せた従業員への“気遣い” 非常事態宣言の発令でホテルは営業縮小、従業員の自宅待機…そんななかで社長から届いたメール
パンデミックで一時は低迷した宿泊産業。しかしコロナ禍が明け、現在、ホテル業界は再び活況を迎えている。客室のほか、レストランやスパ、宴会場などを備えるホテルは、これまでも時代とともに変化し、新しい価値を提供し続けてきた。近年はインバウンドの影響により多様化も進んでいる。 今回は「サービスの最高峰」ともいえるホテルの進化と価値づくりについて、星野リゾートで旅館再生事業を経験した林田研二氏の著書『ホテルビジネス』から、一部を抜粋してお届けする。
■日本三大ホテル 日本三大ホテルとは、①帝国ホテル、②ホテルニューオータニ、③ホテルオークラ(現・The Okura Tokyo)の3つを指します。それぞれ異なる歴史と特徴を持つこれらのホテルは、日本ホテル史において重要な役割を果たしてきました。 ① 帝国ホテル 帝国ホテルは1890年、日本初の本格的なグランドホテルとして開業しました。1970年に現在の本館が建設され、1983年には帝国ホテルタワー館が開業しました。
2022年には、未来への取り組みとして、帝国ホテル周辺の「内幸町一丁目街区」の開発を推進する10社とともに、同街区の事業構想である「TOKYO CROSS PARK構想」を発表しました。これは、都心最大級の敷地面積約6.5ヘクタール、延床面積約110万平方メートルの開発プロジェクトです。 2028年度から順次完成予定で、街区全体の完成は2037年度以降を予定しています。北地区・中地区・南地区の3つの地区で構成され、オフィスや商業施設、ホテル、住宅機能等を備えています。その開発のなかで、帝国ホテルの建て替えがどのように行われ、生まれかわるのかがとても楽しみです。
帝国ホテルといえば、キアヌ・リーブスと北野武が共演した映画『JM』のなかに印象的なシーンがあります。「東京の帝国ホテルでクリーニングしたシャツが着たいよ」――キアヌ・リーブスのこのセリフは、帝国ホテルびいきで知られる彼のアドリブだったそうです。 各国の要人や世界のセレブにも、帝国ホテルの愛好家は多くいますが、100年以上前に初めてホテルにランドリーサービスを導入したのは、帝国ホテルでした。 また、帝国ホテルといえばフランク・ロイド・ライトによる建築も有名です。フランク・ロイド・ライトは、アメリカを代表する建築家で、ル・コルビュジエ、ミース・ファン・デル・ローエとともに「近代建築の三大巨匠」と称されています。