立憲代表選4候補が討論会ー神奈川(全文1)消費減税と財政出動で暮らしと経済支えたい
社会保障改革は長年の有権者の悲願
小川:はい。皆さま、こんばんは。小川淳也と申します。よろしくお願いします。今日、何かとご多用なお時間だと思います。こうして大勢の皆さまにお目に掛かれて本当に光栄です。 社会保障改革は長年の有権者の悲願です。いつ、どういうときに世論調査をしても、政治に最も優先的に取り組んでほしいのは景気・雇用対策と並んで社会保障対策なんですね。では、それがなぜなのか。日本の社会保障制度は基本的に昭和の時代に原形が作られています。当時、平均寿命は60歳前後、55歳で定年。そして、圧倒的に大量の現役世代がいました。 国民年金の掛け金は月額100円、そういう時代にスタートしたものを継ぎはぎしながら今日に至っています。当時、年金受給世帯は国民100人いたら5人でした。高齢化率5%。今、ほぼ30%に到達してます。国民年金の掛け金は当時の100円から今、1万6,000円を超え、4割の人たちは収入も減って雇用も不安定化してますから支払えないという現況に置かれてます。この高齢化率はこれから40%まで上昇していくことが想定されています。 では、そういう中でどう社会を変えていけばいいのか。基本的にこの昭和の時代は人口増、経済の高成長、そしてほとんど全ての方が正社員、そして毎年賃金が上がるという前提の中で、結婚も住宅も子育ても、そして子供たちの教育、医療、年金、介護、ほとんどが自己責任、自助努力の下に置かれている社会でした。 平成に入って30年、人口は減少に転じ、高齢化は進み、そして社会保障はほころび、正社員の門は狭き門となり、毎年給料が上がるとはなかなか想定しづらい時代に入りました。しかしそれでも、住宅、結婚、子育て、教育、医療、介護、ほとんどのことは自己責任の下に置かれ、自助努力が強調される社会を放置しています。
社会保障改革と政治改革は大いに関連
従って、この社会保障改革で最も求められるのは、自己責任、自助努力の呪縛から解放しきちんと公助を整えていくということ。公助によって誰もが安心感、そして将来の見通しを持てる世の中に変革をしていくということ。これが最も大事な視点になってまいります。 そして、必ずしも高齢化率40%という時代になりますと、現役世代だけで諸先輩方を支えていくということが、ある意味困難になります。そうしますと、持続可能な状態にしていくための負担構造はどういうものなのか、そして給付はいずれにしてもあらゆる面で十分なものでなければなりません。そうした社会にこれから移行していけるかどうかが大変大きな分岐点になってくると思っています。 同時に、今日は政治改革、党改革も議論の的なんですが、私はこの社会保障改革と、政治改革は大いに関連していると思っています。つまり、まず当面のところ、今コロナ禍ですから、多くの国々がそうしたように、消費減税をはじめとした減税政策と大規模な財政出動で暮らしと経済を支えたいと思っています。 しかし、ではそれは何十年も先まで、子供や孫たちの世代まで、そのやり方だけでこの社会は持続可能かという問いに直ちに直面します。そのときに、納得ずくの国民負担とはどういうものか、これもまた議論していかなければなりません。私はこういう議論のときにいきおい消費税だけに焦点が当たりがちですが、それは間違っていると思っています。 例えば昔、所得税率は最高税率90%でした。今40%まで下がってきてる。この所得税の累進制をどうしていくか。金融所得、高収入の方ほど配当所得で得ている方が多いです。収入が1億円を超えるとずいぶん実効税率が下がっていくのがこの国の姿です。岸田さん、ちょっと恐れをなして引っ込めたようですが、こうした金融所得への課税の在り方は本来どうあるべきか。 そして法人税もこれまで引き下げ競争を国際的にやってきました。しかし、いよいよ国際社会はGoogleやAppleをはじめとして、大変な収益を上げているのにしかるべき納税を行っていない。国際社会はそろそろ法人税も含めて適正化の道筋を探ろうとし始めています。 さらに再分配でいえば、相続税の議論もおそらく避けて通れない。そして消費課税も含めて。国民が、私、こう思うんです。欲しいものを買うときに払うお金は国民負担とは言いませんよね。同じことです。私たちはどういう社会が欲しいか。そしてその社会に納得ずくで、みんなが支え合いの感覚で提供できる税や保険料はどういう姿か。それを、本当に大人社会を挙げて議論しなければならない。