「周りの人は『話聞いて』」 コロナ禍で自殺者増 ―東京都医師会が懸念
東京都医師会は13日、記者会見し、コロナ禍における全国の自殺者数が8月に1849人となり過去3年の平均よりも128人増となったことを報告した。中でも、最も早い段階で新型コロナウイルスが蔓延した東京都では6月に過去3年の平均を上回り、その傾向は7月8月も続いている。都医師会は東京精神科病院協会などと共に「スクラムを組んでこころの相談機関のバックアップをする仕組みを考えている」(平川博之副会長)という。
「非日常」がストレスに
増加の理由について、平川副会長は「その方々が一番重きを置いているフィールド、例えば男性なら多くの方が職場。女性は家庭。そこでのさまざまなストレスが自殺の引き金になることが多くある」と分析。自殺をほのめかす人が近くにいた場合には「真剣に話を聞けば全く害はなく、逆にそのことによって自殺を防ぐこともできる」「心配してることをまず明確に言葉にしてその方に伝えるべき」と語った。 平川副会長は「(新型コロナは)未知の感染症。それだけで不安や恐怖を生む。修学、就労、日常生活に大きな影響を与える。自粛生活は、メンタルヘルスの維持にとても大切な対人交流を阻害し、強い孤立感、孤独感を生み、さまざまなメンタルヘルスへの影響が懸念される」とウイルスそのものはもとより、ウイルスの蔓延によって引き起こされた「非日常」が原因となった可能性があると言及した。 会見で、都医師会は6つの相談窓口を紹介。
そして、これらの窓口への相談件数をまとめたところ、政府が緊急事態宣言を発出した4月7日の直後(4月11~20日)と、東京都が感染レベルを最も深刻なレベルに引き上げた7月15日ころ(7月11~20日)に件数が急増していたことが分かった。
相談の内容を分類すると、(1)仕事(失業)経済問題(2)家庭問題(3)生活の変化(4)精神症状悪化(5)コロナ症状(6)感染不安(身体症状なし)――の6種類の分けられたという(※図を参照)。 最も相談件数が上がった時期には、このうちの(1)と(3)が特に多かった。