「周りの人は『話聞いて』」 コロナ禍で自殺者増 ―東京都医師会が懸念
自殺者「全国では8月、東京は6月に急増」
全国自殺者の数について、平川副会長は「一番コロナが蔓延して、世の中が揺れている時期には意外と増えていない。これが8月に入って一転して急増した。しかも、急増の仕方が従来にない上がり方だ」と説明。例年と比べて特に特徴的だったのは20歳未満の若年者と、40歳未満の女性の増加だったという。東京都については、全国より早く、6月ころから自殺者数が急増した。 女性の増加について、平川副会長は「エビデンスはなくあくまで推測」と前置きしたうえで(1)失業(2)自粛生活(3)著名人の自死――が要因となった可能性があるとした。
悩む人に気持ち伝えて
平川副会長は「自殺をほのめかす方がいたらどうするか」についても触れた。 「そういった方に『(自殺について)聞いちゃまずいんじゃないかな』ということがあるが、これは真剣に話を聞けば、全く害はない。逆にそのことによって自殺を防ぐこともできる。心配してることをまず明確に言葉にしてその方に伝えるべきで、(相手が)自殺するように感じたならば、はっきりとその点について尋ねるべきだと思う。真剣に、正しく対応すれば自殺を話題にすることは危険ではなくて、むしろ自殺予防の第一歩とされている」 さらに対象者と向き合う時の姿勢にも言及した。 「お聞きになるときの態度だが、ついつい『それはないよ』とか『それはちょっと間違っているよ』と自分の言葉を挟みたくなるが、とにかく我慢して相手の気持ちを拝聴する。本人の気持ちにひたすら寄り添う。ただ一人で抱え込むことは止めてください。大事なことですけど、危ないな、目が離せない、というときにはその方を1人にせずに安全を確保した上で相談機関、専門の医療機関につなぐことを是非やってください」