旅費の変動制「より強力に」 観光客の集中防止策で分科会が提言
政府は25日、有識者らによる新型コロナウイルス対策分科会(会長・尾身茂地域医療機能推進機構理事長)を開き、10月1日から「Go Toトラベル」キャンペーンに東京都を加える政府方針などを巡って議論した。その後開かれた会見で、尾身会長と東京財団政策研究所研究主幹の小林慶一郎氏は、感染拡大を防ぐためには「小規模分散型旅行」を定着させるとともに、休日や繁忙期の旅費を高くし、それ以外の日を安くする「ダイナミックプライシング」を強く行うことで特定の日に旅行客が集中することを防ぐ必要があると訴えた。
尾身会長は「小規模分散型の旅行はいままでも提言した通りだが、先日の連休の混雑を見ると必ずしも実現に至っていない」と指摘。しかし、政府側にダイナミックプライシングの導入を求めたところ、「組み入れるのは事務的に難しい」「すでにもうやっている」と返答があったという。「確かに努力をされていると私たちも認識しているがもう一歩強力なインセンティブ(が出るようにしないと)いまのままだと休暇になるとわーと行って、またそれが終わると人がいなくなる」と警鐘を鳴らした。
経済専門家「旅客の平準化は公益」
感染症対策や疫学を専門とする分科会のメンバーの露出が目立ってきた中で、小林氏は経済の専門家。 小林氏も「感染症を拡大させないために旅行を平準化しなければならないというのが目的。旅行行動の平準化、小規模旅行を普及させるのは公益であり、そのために税金を使うというのは非常にもっともな理屈」と話しを展開。「公益のためのインセンティブづくりということなら平日と休日で割引率を違わせることはもっとやっていいのではないかと私個人は考えている」と語った。 具体的な方策についても「極端に言えば休日はGo Toの対象外とするなど色んなやり方がある」と説明。政府側が「すでになっている」との姿勢を示したことに対しても「それでも旅行が平準化していない。いまのダイナミックプライシングでは足りないのでもっとやるべき」と述べた。 また「Go Toキャンペーンでほぼ予約が決まっているのは多分1月か1月の終わりくらいまで。その後、春休みとか卒業旅行、そういう3月の旅行はまだ対象に入っていないので、これからでも制度設計を変えるというのは少なくても春の旅行についてはやれるはずじゃないかと認識している」とも言及した。