子どもに「すごいね!」は逆効果? モンテッソーリが教える「ほめ言葉の選び方」
② もっと具体的にほめる
おざなりほめに足りないのは具体性です。 「すごいね」と言われても具体的な理由なしには自分の優れているところ、また努力 が必要なところがわかりにくいものです。 たとえば、上司に「いいね!」と言われるのと、「細かいところまで注意を払った 様子がよくうかがえる資料で、とてもわかりやすかったよ」と言われるのでは、どち らが自分の長所に目がいくでしょうか 「よく書けた文章です」と言われるのと、「各章のまとめが的確で、全体に一貫性が あって、非常に読みやすい文章だった」と言われるのでは、どちらがスキル向上に役 立つでしょうか。 このように具体的なフィードバックをもらった場合のほうが、次のパフォーマンス に向けてモチベーションが自然と上がります[*13]。 「プロセスほめ」でも見たように、途中経過の努力や姿勢、工夫などに言及しながら、 具体的にどんなところがよかったのかを子どもに伝え、「すごい」の口ぐせから脱却 してみましょう。 見たままを具体的に描写するのも手法のひとつです。 「上手」「よくできました」と大人の評価を押し付けることを避け、見たまま(色・形・ 数など)を具体的に表現してみるのです。 たとえば、子どもがおもちゃのレゴをつくってあなたに見せにきたとします。それ を評価したり、おざなりに言うのではなく、具体的に「たくさんの色を組み合わせたら、カラフルになったね!」「ここには違う色を使ってみたんだね!」というような声かけをしてあげましょう。 *13 Hattie, J., & Timperley, H. (2007). The power of feedback. Review of educational research, 77(1), 81-112.
③ もっと質問する
ほめる言葉を伝えるだけでなく、子どもにどんどん質問しましょう。 大切なのは、子ども自身がどう感じたか、どう思ったかということであり、親がど う思うかはそれほど重要ではありません。 質問するときは、「楽しかった?」など「はい」か「いいえ」で答えられるような 広がりのない選択解答形式の質問は避けることが重要です。 「どういうものをつくったのか教えてくれる?」など、会話のキャッチボールができ るような自由回答形式の質問をしましょう。 さらに最上級形容詞(もっとも、いちばん)を使って自由回答式の質問をするのも情 報を引きだすのにとても有効的です。「もっとも」「いちばん」という言葉をつけ加えるだけで、漠然とした質問から、具体的な質問に変化させることができます。 ここでも具体性が重要になります。たとえば幼稚園や保育園などのお迎えに行った ときに「今日はどんな日だった?」と聞いても「わからない」とか「知らない」と子 どもに回答された経験はありませんか。これは、子どもがたくさんあるできごとのな かから情報を整理しきれないからです。 「今日、お友だちと一緒にいて、いちばん楽しいことはなんだった? どうしてそう 思うの?」というように的を絞った質問をしてみましょう。