「ネットで『チック症の美少女』と言われ…」「私の動画が“ロリ扱い”で拡散した」トゥレット症の20代女性が明かす、病気に対する周囲の意外な反応
最近は無意識に「キャー」「ニャー」と言ってしまう
――「背中の上のほうを触りたくなる」運動チックがあるとのことですが、意識して抑えることはできるものなのでしょうか。 へち ちっちゃな動きをして、逃がす。たとえば足に逃がすとか。「あ、くるな」となったら、足を上げたりして。でも、背中を触るぐらいのチックだったら、白い目で見られることもないんで。 一応、抑えることはできるんですよ。「絶対に出しちゃダメ」って思うと、チックって抑えられるんです。中学、高校では、それを1日頑張ってやってたという感じで。ただ、どっと疲れちゃうんです。
――音声チックのほうは、最近だと。 へち 普通に声が出ますね。「キャー」とか「ニャー」とか、少し前にひと月ほどカナダに行ってたんですよ。弟が住んでるので、会いに行って。そのときは、音声チックが英語になりました。「ノー・ウェイ!」とか言ってました(笑)。 ――「ノー・ウェイ」って、「信じられない」とか「ムリでしょ」といった意味ですよね。自分でも「こんなのが出ると思わなかった」と驚くようなものはあります? へち それは、いっぱいあります。「ノー・ウェイ」は、話していた相手が言っているのを聞いて「あれ、どういう意味だったっけ?」って調べたんですよ。その日に。そしたら、その日の夜に「ノー・ウェイ!」って出てくるようになって。 ――印象に残った言葉が出てしまう。 へち そうみたいです。私の場合は、ですけど。 ――「キャー」というのは、悲鳴の「キャー」になるのですか。 へち 単に音声として出ちゃうんですよ。「ニャー」に関しては、猫を飼い始めてから出るようになって。
トゥレット症を公表して「生きやすい」と感じるワケ
――カナダの人たちは、トゥレット症候群に理解がありましたか。 へち 弟はカナダで大学生をしてるんですけど、「誰もバカにする人はいないよ」って聞いてます。大学に重度のトゥレットの子がいたそうなんですけど、その子が自習室で勉強していても誰もなにも言わないし、悪く言うものじゃないという雰囲気ができてるみたいで。 その雰囲気ができてるということは、トゥレットが病気であるっていう理解が根本にあると思うんですよね。広く認知されていた感じがします。 ――日本は、まだまだですか。 へち ちょっとずつ寛容な社会になってきたかなと思います。私のTikTokでも、チック症って聞いたことあるとか、知ってるという反応が増えた気がします。「全然、大丈夫だよ」みたいな感じで言ってくれる人も多いし。あと、私に関しては、TikTokでトゥレットを公表していて、知ってくれているというベースがあるので、生きやすい感じはありますね。 ――それでも、日常生活を送るうえで苦手なこと、行くのを避ける場所などは。 へち 歯医者さんとか美容院は避けますね。動くといろいろ大変なので。あとはやっぱり、静かな場所も行くのは躊躇しますよね。